村田製作所が挑む交通インフラビジネスとは:自らシステム運用、データ提供に参入(1/2 ページ)
村田製作所は、センサーと無線通信で交通データを収集する「トラフィックカウンタシステム」を開発。さまざまな交通情報を提供するビジネスモデルを構築し、東南アジアを皮切りに海外で事業化を目指す。
村田製作所は、新開発の交通インフラシステムを海外で事業展開する。センサーと無線通信で交通量などのデータを収集する「トラフィックカウンタシステム」を開発。渋滞が深刻なタイ・バンコクで実証実験を進めている。システムを製品化するのではなく自社で運用し、多様な交通情報を提供するビジネスモデルの構築を目指す。
トラフィックカウンタシステムは、同社が強みを持つセンサー技術や産業用無線通信システムを活用して開発した。センサーと無線通信システム、データ処理システムなどを搭載した、センサーノードと呼ばれる装置を道路上の信号機や歩道橋などに設置。車両数のほか、車速や車種、進行方向などの情報を道路レーンごとにリアルタイムで収集する。天候、地理情報などの取得も可能だ。
収集したデータは、センサーノード内で処理してからワイヤレスネットワークを通じて送信する。膨大な生データをそのまま送信する必要がないため、データ量を小さく抑え、省電力につなげることができるという。
また、無線通信を使用することから、設置に必要な機材や工数を少なくできる。現段階では各センサーノードの電源を有線でつないでいるが、将来的には太陽光発電で稼働させ、設置をさらに簡単にする計画。大掛かりな設備を必要としない、ローコストオペレーションを目指している。
交通データを提供する
日本では高機能カメラなどを活用したインフラシステムがすでに普及していることから、海外で事業化を目指す。
その方法は、地図制作会社など、交通情報をビジネスに使用する企業に向けたデータ販売だ。開発したシステムを販売するのではなく、自社で運用して付加価値の高い情報を提供する。電子部品製造などを主力とする同社としては、新しい試みとなる。
では、なぜデータ販売なのか。事業化を目指す国ごとに狙いは異なる。
関連記事
- 2017年は「MR元年」なのか 2社に注目
昨年は「VR元年」と言われたが、2017年はどんなテクノロジーがやってくるのか。各方面から注目されているのは「複合現実(ミックスド・リアリティ=Mixed Reality=MR)」。話題になる可能性があるこのMRとはどんなテクノロジーなのか。 - 全自動衣類たたみ機が創り出す、未来の姿
洗濯物をたたんでくれるロボットがあれば……。2017年、その願いを実現する製品「ランドロイド」の販売がいよいよ始まる。開発したセブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズによると、ランドロイドは私たちの暮らしだけでなく、日本のモノづくり産業を変える可能性も秘めている。 - AIビジネスの“カンブリア爆発”が始まる
2015〜2016年にかけて、AI(人工知能)は人間を超える「目」と人間並みの「耳」を持った――。目を持ったことでカンブリア紀に生物が爆発的に増えたように、AI搭載の製品やサービスもこれから爆発的に増えると考えられる。2017年以降、そのAIビジネスをけん引する企業とは……。 - アウディ、米国で車と信号機をネットワーク接続
アウディは米国で、自動車と信号機をネットワーク接続し、信号機の情報を車内に表示するサービスを開始。信号が変わるタイミングの情報を提供することで、渋滞緩和や環境負荷低減につなげる。 - なぜ人々は、ビッグデータを「不安」と感じるのか
ビッグデータを活用したビジネスに不安を覚える人が多いという。その理由は?――博報堂と日立製作所調べ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.