チャットボットがビジネスインフラになる日:日本でも活用が進む(3/3 ページ)
人工知能(AI)と言えば、自動運転や医療への応用で脚光を浴びているが、もちろんECや物販などのビジネスにも応用できる。その領域で今、注目を集めているのがチャットボットだ。米国の動きを見ても、チャットボットが消費者向けビジネスの主要チャンネルの1つになることはまず間違いないだろう。実は日本でも、その動きが加速し始めている。
導入企業から好評価
AIメッセンジャーは9月からチャットボットのサービスをスタートさせたばかりだが、既に十数社が導入を決め、うち数社は既にチャットボットを現場で活用している。
石川氏によると、これまで電話によるセールスを行っていたある会社がチャットボットに変えたところ、成約率が劇的に向上したいう。ユーザーからすれば、電話よりも気軽にいろいろと質問できるメリットがあるそうだ。企業側としても、まずはチャットボットとの簡単なやりとりの中で、ユーザーの本気度を確認できる。その後、人間のオペレーターに切り替わるのだが、購入意欲のあるユーザーに対してのセールストークなので、成約率が向上するというわけだ。
また、化粧品通販を展開するある会社では、試験的に1つの商品のページ上にチャットボットを置いたところ、売り上げが45%増加した。そこでこの会社では、全ての商品のページ上にチャットボットを設置することを決めたという。
LINEのようなチャットサービスが、コミュニケーションの主流になっていく中で、チャットボットが企業と消費者の接点になっていくことはほぼ間違いない。とは言うものの、チャットボットでできることの範囲や、どんなビジネスに有効なのか、それはまだ誰も答えを知らない。
石川氏は「AIやチャットボットは、まだその使い方の『正解』が存在していないんです。われわれが先陣を切って成功例を作れば、それが業界の『正解』になるかもしれない。そうなれば、かなりいいポジションに立てるようになります」と胸を張る。
果たして同社の思惑通りに時代は変化していくのだろうか。引き続きウォッチしていきたい。
著者プロフィール
湯川鶴章(ゆかわ・つるあき)
ITジャーナリスト。時事通信編集委員を経て独立し、ブログメディアTechWaveを立ち上げたあとフリーに。「少人数勉強会TheWave湯川塾」ビジネスマンのためのAI講座湯川鶴章オンラインサロンなどのセミナーも運営する。
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