メルシャン、好調な輸入ワインに新ブランド:2017年の事業戦略発表
ワインメーカーのメルシャンが2017年の事業戦略を発表。チリワインを中心に売り上げ好調な輸入ワインに引き続き注力する。新ブランド商品も発売する。
ワインメーカー大手のメルシャンは1月18日、2017年の事業戦略を発表した。前年に引き続きチリワインを中心とした輸入ワインに注力し、新ブランド商品の販売も始める。
17年の販売目標は、国内製造ワインが364万ケース(前年比3%減)、輸入ワインは358万ケース(同10%増)、合計で722万ケース(同3%増)とする。同社はワイン全体の市場が前年から1%伸びると推定しており、それを上回る成長を目指す。
輸入ワインの好調を支えるのが、チリワインブランドの「カッシェロ・デル・ディアブロ」シリーズだ。チリワインには安価な商品が多い中、同シリーズは1000〜2000円台の中高価格帯であるにもかかわらず売り上げを伸ばしている。17年の販売目標は前年比43%増の13万5000ケースで、これは15年比で約2倍の数字に当たる。
加えて、顧客のすそ野拡大に向けた輸入ワインの新ブランド「ワールドセレクション」を発売する。同社の調べによると、現状でワイン購入者の7割が週1回以上飲用するヘビーユーザーである。今後さらに売り上げを増やすにはミドルおよびライトユーザーの取り込みが不可欠だが、彼らの多くは「ラベルを見ても産地や品種などワインの特徴が分からない」といったことが購入障壁になっていた。そこでワールドセレクションでは、品種と産地を視覚的に明示するなど分かりやすさを追求するとともに、500円前後の買い求めやすい価格設計にした。第1弾として赤ワインの「カベルネ・ソーヴィニヨン フロム チリ」と、白ワインの「ワールドセレクション シャルドネ フロム オーストラリア」を2月14日に発売する。
一方で、マイナス成長を見込む国内製造ワインについては、チリワインを含めたコストパフォーマンスの良い商品が、300円台の低価格帯ワイン「ビストロ」に取って代わられたことが販売低迷の主な原因だという。ただし、日本産のブドウを使った日本ワインは前年比7%増を目指す。今後も日本ワインには力を入れていき、既に山梨県甲州市でブドウ畑を開園したほか、17年度には長野県塩尻市で植栽を実施する。
「まだまだワイン市場は伸びているが、一本調子の成長はないだろう。ワインの多様性などを顧客へ訴求することで成長の弾みにしたい」とメルシャンの横山清社長は意気込んだ。
関連記事
- 22年間で487倍に! 「安さ」だけではない、チリワイン輸入量急増のわけ
長らく首位を守り続けてきたフランスの牙城がついに崩れた。2015年のスティルワイン年間輸入数量でチリがフランスを抜きトップに躍り出たのだ。その急成長の理由とは――。 - メルシャンがフランス老舗ワイナリーに出資する理由
国内ワインメーカーのメルシャンがフランスの老舗ワイナリー、ドメーヌ・カズに出資し、約10%の株主となった。両社は10年前から販売パートナーとして協業してきたが、なぜメルシャンは出資に踏み切ったのだろうか……? - カルビーが「成型ポテトチップス」の開発を止めなかった理由
ついにカルビーが「成型ポテトチップス」市場に本格参入した。筒型タイプの新商品「ポテトチップスクリスプ」を発売、初年度で20億円以上の売上高を目指す。実は成型ポテトチップスの商品化は以前から検討を進めていたのだが……。 - メルシャンが“悪魔のバル”を銀座にオープン チリワインの売り上げ増図る
メルシャンは10月7日から期間限定で、チリワインブランド「カッシェロ・デル・ディアブロ」のコンセプトレストランを東京・銀座にオープンする。 - 地ビールブームから一転、8年連続赤字で“地獄”を見たヤッホーブルーイング
現在、11年連続で増収増益、直近4年間の売り上げの伸びは前年比30〜40%増と、国内クラフトビール業界でダントツ1位に立つヤッホーブルーイング。しかしここまではいばらの道だった……。井手直行社長が自身の言葉で苦闘の日々を語る。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.