2017年の宇宙ビジネス、ここを要チェック!:宇宙ビジネスの新潮流(2/3 ページ)
米SpaceXの打ち上げサービス再開など、年明けから宇宙関連のビッグニュースが続いている。今回はますます勢いが増す宇宙ビジネス業界の2017年を展望したい。
世界(4):小型衛星ビジネスは多層構造に
ベンチャー企業を中心に進んできた小型衛星開発と衛星ビッグデータ利用は、2015年まではさまざまなプレイヤーとビジネスモデルが乱立していたが、昨年に企業間の買収・統合・提携などが進んだことで、産業バリューチェーンの多層化、水平分業化という業界構造が少しずつ明らかになってきた。今年はより鮮明になるだろう。
具体的には、米Planetや米Terra bellaのような、(1)衛星設計・製造・配備(2)衛星データプラットフォーム+APIの提供、米Orbital insightなどの(3)衛星画像解析サービス、IT大手米IBM傘下の米Weather companyや米Farmlogsなどの(4)他データ統合&ソリューションの提供、というレイヤーに分かれてきている。特に(4)は宇宙データ利用というより、昨今のIoT(モノのインターネット)化やデジタル化の流れの中に宇宙がどう絡めるかが課題だ。
世界(5):宇宙資源開発が主要テーマに
地球近傍を離れた深宇宙の領域でも今年はマイルストーンがある。米国では2015年末に商業宇宙資源開発を認める法律が制定された。呼応する形で2016年にはルクセンブルクが宇宙資源開発の欧州ハブとなるためのイニシアチブを立ち上げ、200億円のファンドを準備。さらに米国同様に宇宙資源開発を認める法律案を公表済みで、2017年中に成立する見込みだ。
欧米以外には、中東のアラブ首長国連邦でも欧米のような法律制定の予定があると報道がされている。また国連の宇宙平和利用委員会(COPOUS)でも2017年の議題として宇宙資源開発が採択されるなど、法律、政策、技術開発、投資など包括的な議論が加速していくことが予測される。こうした国際世論形成に日本がどのようにかかわっていくかも重要なポイントだ。
以上が、米国を中心とした世界の動きだが、次に日本の動向をチェックしてみたい。
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