富士重、営業益を上方修正 販売台数は最高更新 17年3月期:米国の経費負担はリスクに
富士重工業は、2017年3月期の連結営業利益が前期比27.5%減の4100億円になる見通しだと発表。為替変動の影響を織り込み、業績予想を上方修正した。
富士重工業は2月8日、2017年3月期の連結営業利益が前期比27.5%減の4100億円になる見通しだと発表した。16年11月に公表した予想を370億円上方修正。米国の販売費などが膨らんでいるが、為替が想定よりも円安に推移していることで利益を上積みできる見通しだ。
17年3月期の売上高は2.4%増の3兆3100億円、純利益は33.6%減の2900億円の見通し。ともに従来予想を上方修正した。売上高は5期連続の過去最高を見込む。
販売台数は過去最高
最大市場の米国を中心に、好調な新車販売が売り上げ増に貢献している。17年3月期の世界販売台数の計画は11.5%増の106万7500台。米国や日本の台数増加を織り込み、従来予想を上方修正した。過去最高を更新する見通しだ。
米国の販売台数の見通しは、14.5%増の66万7400台。「レガシィ」「アウトバック」「インプレッサ」などが好調に推移している。日本は11.1%増の16万1500台の見通し。スポーツタイプ多目的車(SUV)「フォレスター」などが順調に販売を伸ばしている。
一方、為替の影響や経費の増加により、減益を見込む。前期と比べて為替が円高だった影響で利益が目減りし、販売増による利益を吸収。米国で販売店へのインセンティブ(販売奨励金)が増加していることやクレーム費の負担増加なども大きく響いた。
営業利益を上方修正した要因は、為替レートの見直しだ。想定レートを従来予想から5円円安の1ドル=108円に修正したことで、510億円を上積みできる見通し。一方、販売管理費などの経費は従来予想より多く見積もり、195億円のマイナス要因となっている。
同日発表した16年4〜12月期の連結業績は、売上高が前年同期比0.4%増の2兆4278億円、営業利益が29.6%減の3067億円、純利益は38.6%減の2075億円。世界販売台数は10.3%増の78万5800台だった。売上高、販売台数は過去最高を更新した。
インセンティブの負担増加
米国を中心に販売は好調だが、経費の増加がリスク要因となっている。米国市場では、16年夏ごろからインセンティブを大幅に増加。前期は1台当たり1000ドルに満たなかった額が、第3四半期で1700ドル、第4四半期で1650ドル(見込み)に膨れ上がっている。業界全体の流れに必ずしも合わせるわけではないが、「米国の金利水準が上がっている」(高橋充取締役専務執行役員)ことから、経済状況に対応しているという。
高橋取締役専務執行役員は決算会見で、「販売に陰りが生じたり、売れ行きが鈍ってきたりしているわけではない。販売台数は順調に伸ばせる手応えがあるが、販売費は経済状況に応じて上がっている」と説明した。
米国のトランプ政権による施策については、「販売面の影響はまだ分からない」としているが、生産面では現地生産を増やしていることに言及。「販売台数に対する現地生産比率は高くないが、16年に米国の生産能力を倍増した。今後も現地生産比率を高めていく」と方針を語った。また、生産拡大により、雇用に貢献していることにも触れた。
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