「SPACETIDE」で語られた宇宙ビジネスの今:宇宙ビジネスの新潮流(1/3 ページ)
2015年に続き2回目となる宇宙ビジネスカンファレンス「SPACETIDE 2017」が開催した。イベント当日は数百人の起業家、投資家、大手企業、異業種企業、政府関係者などが駆け付け、総勢20人を超えるパネリストが登壇した。その熱気をレポートする。
2月28日、日本初の民間による宇宙ビジネスカンファレンス「SPACETIDE 2017」(主催:一般社団法人SPACETIDE、後援:内閣府宇宙開発戦略推進事務局、経済産業省、文部科学省、JAXA)http://spacetide.jp/2017/が開催された。2015年に続き2回目の開催だ。
事前登録は満員となり、当日は数百人の起業家、投資家、大手企業、異業種企業、政府関係者などが駆け付け、総勢20人を超えるパネリストが登壇した。また、ゲストとして石原宏高内閣府副大臣が来場した。筆者自身は主催代表を務め、このカンファレンスの企画・運営に携わってきた。今回、次回と2度にわたってイベントで交わされた議論の内容をレポートしたい。
宇宙ビジネスを成長させる「つながり」
SPACETIDE 2017のテーマは「つながりが、新たな宇宙ビジネスを生み出す」だ。従来、国家中心に行われてきた宇宙産業だが、近年は民間宇宙ビジネスビッグバンとも言えるビジネスイノベーションが加速しており、ベンチャー企業やこれまで宇宙と関係のなかった異業種企業の参入が加速している。こうした中、業態や職種をまたいだ「つながり」が新たな宇宙ビジネスを生み出す力の源泉になりつつある。
例えば、月面無人探査を目指すチームHAKUTOは通信大手・KDDIのブランドであるau、宇宙大手のIHI、メガネ大手のZoffなどが支援し、宇宙旅行に向けた宇宙機開発を行うPDエアロスペースは旅行代理店のHIS、航空大手のANAと資本提携している。
2016年末には通信大手のソフトバンクが衛星インターネットベンチャーの米OneWebに1000億円規模の投資を行い、さらには衛星通信大手・米Intelsatとの合併も主導するなど、国内外で業態間連携が加速している。
職種のつながりも重要だ。宇宙開発はこれまで技術者が中心だったが、民間宇宙ビジネスでは多様なスキルセットが求められる。SPACETIDE2017に事前登録した数百人の職種もさまざまで、4分の1は起業家・投資家・経営者、4分の1は事業開発・営業担当、4分の1は政府・メディア・エンジニア、それ以外が学生だ。カンファレンスを通して、多種多様なプレイヤーの交流やつながりを促し、新たな宇宙ビジネスのプラットフォームを形成していくのがSPACETIDEの狙いなのだ。
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