提訴がダメなら「くら寿司」はどうすればよかったか:スピン経済の歩き方(2/6 ページ)
ネット掲示板に「何が無添なのか書かれていない」などと書き込みをした人物の個人情報開示をめぐる訴訟に敗れた「くらコーポレション」に対して、厳しい言葉が投げかけられている。では、どうすればよかったのか。
経営者の怒りの「一線」を越えた
今回の騒動を受けた「くらコーポレーション」がWebサイトに出した声明からも「抑えきれない怒り」が伝わってくる。「創業以来、長年、最も大事にして取り組んできた四大添加物の不使用」を侮辱されたことに対して、「看過できない」という言葉を2回使って我慢の限界だったことを匂わせている。
今回のネット書き込みは「くらコーポレーション」の経営者にとって、企業イメージが悪くなろうがなんだろうが、断じて許すことのできない「レッドライン」だったということは明らかだ。
こうなると、もはやこの話が広報対応云々のレベルでないことは明らかだ。同社の広報IR部門が、書き込みをしたユーザーとのやりとりで法的手段をちらつかせたことを「初動ミス」だと指摘する方たちもいるが、こうい対応を現場の担当者がアドリブでやるということは考えにくい。
つまり、この時点で「徹底抗戦」という大方針がトップダウンでおりてきていた可能性が高く、「法廷闘争」は社内では逆らうことのできない既定路線だったのである。
そう考えると、「悪手」に踏み切らざるを得ない企業側の苦しい胸の内もよく理解できるのだが、企業イメージを守り、いたずらに事態を長引かせないということでいえば、やはり「くらコーポレーション」は別の方法をとるべきだった。
匿名であることをいいことに、あることないこと好き勝手に発言をする輩に対して打つ手がないから提訴したんじゃないか、という企業広報担当者もいるかもしれないが、実はすぐ近くに学ぶべき素晴らしい手本がある。
マクドナルドだ。
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