Google傘下の衛星企業をPlanetが買収、リモセン事業の未来は?:宇宙ビジネスの新潮流(1/2 ページ)
サンフランシスコに本社を構える衛星ベンチャー・米Planetによる米Terra Bellaの買収が正式に成立。併せて、Terra Bellaの親会社である米GoogleがPlanetの株主となることも発表された。この二大衛星ベンチャーの統合は何を意味するのだろうか?
4月18日、米国サンフランシスコに本社を構える衛星ベンチャー・米Planetによる米Terra Bellaの買収が正式に成立した。併せて、Terra Bellaの親会社である米GoogleがPlanetの株主となることも発表された。ここ数年にわたり話題を集めてきた米国を代表する二大衛星ベンチャーの統合は何を意味するのだろうか?
Planetのメリットは?
今年2月時点でPlanetがGoogleからTerra Bellaを買収することを発表していたが、4月17日に買収が正式に成立した。売却後も、Googleが顧客としてPlanetから今後数年にわたり衛星画像を購入することが発表されていたが、今回、共同創業者のウィル・マーシャル氏および広報チームからGoogleがPlanetの株主になることも発表された。これで米二大衛星ベンチャーによる買収劇は一段落となる。
Terra Bellaは、2014年当時、500百万ドルでGoogleが買収したことで業界の中でも注目を浴びた企業だ。1メートル未満の分解能を持つ独自衛星「Skysat」を設計・開発し、大手航空宇宙企業のSSLに衛星製造委託、現在までに7機を配備している。さらに衛星データの処理には分散処理プラットフォーム「Apache Hadoop」を活用するなど、話題を集めてきた企業である。
なお、今回のディールでGoogleはPlanet以外に気象データベンチャーの米Climate Corporationとも話し合いを持ったと報道された(GoogleとPlanetはコメントしていない)。同社は衛星を含む気象データ、土壌環境、農地のデータを収集・解析して、農業従事者向けに営農サービスおよび農業保険などを提供する企業であり、バイオ企業の米Monsantoが2015年に買収したことで有名だ。結果的には同業他社であるPlanetによる買収に至った。
PlanetにとってTerra Bellaの買収のメリットは何か。Planetはこれまで小型衛星の開発・製造からデータ販売まで垂直統合で行ってきているが、その取り組みは小型衛星コンステレーションの構築、データプラットフォームの構築、および顧客開拓による売り上げ拡大に集約される。また、こうした活動を自社努力に加えて、他社との提携、さらには今回のような買収といったさまざまな方法を用いてきているのが特徴的だ。
衛星コンステレーションの構築に関しては、分解能3〜5メートルの超小型衛星を既に150機ほど打ち上げており、今年2月には88機の小型衛星を同時打ち上げたことが話題になった。他方、2015年には同業他社の米Black Bridgeを買収し、同社が運用していた約5メートル分解能の「RapidEye」という衛星と過去6年分のデータを獲得。さらに今回のディールではより高精度なSkysatという衛星と過去データを取得した。
最近は世界中でAmazon Web Services(AWS)などのパブリッククラウドサービスを衛星データプラットフォーム構築に活用する動きが増えているが、同社も独自のデータプラットフォーム構築を行っている。自社衛星に加えて、米国の政府衛星である「Landsat 8」のデータや欧州の政府衛星である「Sentinel-2」のデータなども既にプラットフォームに統合されており、今後Skysatのデータも統合されていくものと思われる。
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