閑散としていた「競輪場」に、なぜ人が集まってきたのか:水曜インタビュー劇場(ムダ公演)(2/5 ページ)
バブル崩壊後、公営レースは「氷河期」が続いていた。売上減が続いていたが、ここ数年、反転しつつある。レース場といえば、ゴミが落ちている、トイレが汚い、高齢者が多い、といったイメージがあるが、なぜ売り上げが伸びつつあるのか。その理由は……。
ゴミは散らかっているし、トイレは汚いし
土肥: 経済産業省が発表している「競輪の売上高」をみて、びっくりしたんですよね。1991年度は1兆9553億円もあるのに、2013年度には6063億円まで減少している。お客さんの財布事情や高齢化など、さまざまな要因が重なって売り上げが減少しているかと思うのですが、ここ数年、ちょっと異変が起きているんですよね。2013年度まで右肩下がりだったのに、その後、売り上げが少し伸びていて、2015年度は6308億円に。
なぜ売り上げが伸びているのかなあと思って調べたところ、ネットでの販売が増えたり、夜間の開催日が増えたり、といった要因があるんですよね。でも、それだけではない。公営レースはこれまで自治体が行ってきたのですが、2006年度から「民間企業も運営してもいいですよー」(自治体から受託して運営)ということになりました。
日本写真判定も2010年に、富山競輪場の運営を始めているんですよね。現在は6カ所を運営していて、それぞれで「結果」を出してきた。例えば、山陽オートレース場の売上高は2年連続で増えていて、2016年度は前年度比19.1%増の77億円。お客の数が減っている、売り上げが減っている、赤字が膨らんでいる、といった状況の中で、なぜ再生することができたのでしょうか?
渡辺: 当社の本業は、公営レースの着順を判定するために、写真を撮影すること。このほかに、場内アナウンスやレース映像の編集など、レースの周辺業務を請け負ってきたんですよね。しかし、公営レースの売り上げがどんどん減少していったので、当社の売り上げも厳しくなりました。
2007年に社長に就任し、現場を見て回ってびっくりました。ゴミは散らかっているし、椅子は汚れているし、トイレは匂うし、スタッフは不愛想だし。そんな劣悪な環境で、売り上げが伸びるわけがないですよね。「なんとかしなければいけない」ということで、2010年に富山競輪を運営することにしました。
土肥: ゴミは散らかっていて、椅子は汚くて、トイレは匂って、スタッフは不愛想で。そんな状況の中で、何から手をつけたのでしょうか?
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