日本車はガラケーと同じ末路をたどるのか?:池田直渡「週刊モータージャーナル」(2/4 ページ)
最近、世間ではこんなことがよく言われている。電気自動車の時代が到来することによって中国車が台頭し、日本車はガラケーと同じような末路をたどるというのだ。果たしてそうなのだろうか?
では、自動車産業はどうだろうか? まず企業のビジョンと製品のコンセプトをしっかり自社で作っている。と言うよりも、ほかの誰もやってくれない。さらに国外での販売においても自ら血を流して問題解決を図ってきた。だから日本の自動車は世界のどこに行ってもそれなり以上のシェアを確保しているし、米国との激しい貿易摩擦を乗り越えることができた。
1980年代、日米貿易摩擦が重大な政治問題となり、日本の自動車メーカーは輸出を制限された。その解決のために、彼らは莫大な投資を行って生産拠点を米国に新設し、現地に利益を配分して摩擦を解決した。もちろん貿易摩擦だけが問題ではなく、1985年のプラザ合意から始まった急激な円高ドル安への対策もあったが、いずれにしてもそういう問題に自動車メーカーは自分の力と責任で立ち向かったのだ。
以後このメソッドを援用して、他地域へ進出する度に生産拠点を設け、可能な限り貿易摩擦を引き起こさない施策を採った。それらの工場から上がる収益は各国経済にとって無視できない利益を継続的に稼ぎ出している。
要するに日本の自動車産業は、国際経済との共存共栄という形で各国に深く食い込んでいるのだ。自動車の世界で製品を売るということは、国家間交渉レベルの調整が求められる。それができるのは実績と信頼があればこそで、中国にこうした視点があったならば東アジアの緊張は起きていない。日本の家電メーカーは安い労働力を求めて海外に工場進出をすることはしたが、国と国を経済協力的に結び付ける役割は残念ながら果たしてこなかった。
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