インタビュー
サラリーマンの味方「切腹最中」は、なぜ1日に7000個も売れるのか:水曜インタビュー劇場(すみません公演)(5/5 ページ)
お詫びの手土産として、多くのサラリーマンが購入する「切腹最中(せっぷくもなか)」をご存じだろうか。1990年に発売したところ、当初は注目されていなかったが、いまでは多い日に7000個以上売れている。「切腹」という言葉が入っているのに、なぜヒット商品に成長したのか。
領収書を求めない
土肥: 切腹最中を購入したサラリーマンを観察していると、ある行動に気付きました。店の外を出て、サラリーマンは何をするのかというと、すぐにスマートフォンを取り出す。そして、地図アプリを立ち上げる。謝罪に行く会社にどうやっていけばいいのか、調べているのではないでしょうか。
渡辺: かもしれません。店は午前9時にオープンしているのですが、開店前に並んでいるサラリーマンもいます。おそらく、朝イチで謝罪に行くのではないでしょうか。話はちょっと変わりますが、仕事で手土産を買う人って、領収書を求めるケースが多いですよね。
土肥: はい。
渡辺: ただ、真剣に謝ろうとしている人は、領収書を求めないんですよ。どんな失敗をしたのかは分かりません。しかし、必死さや悲壮感のようなものが漂ってくる。そうした人を目の前にすると、声はかけませんが、心の中で「がんばってください」と言って手を合わせるようにしています。こちらは最中を提供することくらいしかできませんが、少しでもお役に立てればと。
土肥: ちなみに、私はサラリーマン人生を20年ほど送っていますが、まだ切腹最中を購入したことがありません。できれば、これからも買わずに終えたい。
渡辺: いえ、お待ち申し上げます(笑)。
(終わり)
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