【詳報】富士フイルム、不適切会計の裏に何があったのか:富士ゼロックスを特別扱い(2/4 ページ)
富士フイルムホールディングス(HD)が、当初の予定よりも1カ月以上遅い6月12日に決算内容を開示した。その理由は、子会社の富士ゼロックスで海外子会社を巡る不適切会計が明らかになったためだ。事態の発覚が遅れた背景には、富士フイルムHDの富士ゼロックスに対する“特別扱い”があったという。
不適切会計はこうして発覚した
富士ゼロックスがFXNZの会計処理に問題があることを知ったのは、15年7月。「ニュージーランド子会社で不正会計が行われている」という旨の告発メールが届いたためだ。富士ゼロックスはメールの内容に信ぴょう性があると判断し、現地でリース契約のチェックを実施した。しかし、当時のチェックでは、「不正」との明確な判断を下すことはできなかった。
当時富士ゼロックスが実施したのは、数万件のリース契約のうち数割を抽出し、チェックする「サンプリング調査」。サンプルの一部には問題のある契約も見つかったが、富士ゼロックスの吉田晴彦副社長(当時)の判断は「おかしな契約も一部あるが、全体としては問題ない」というもの。その後、富士フイルムHDは追加調査を指示したというが、問題の把握にはつながらなかった。
ウィタカー氏の不正が明らかになったのは、16年2月。FXNZの最高財務責任者(CFO)が交代したことを機に、富士ゼロックスが外部弁護士を使ってFXNZの会計の状況を確認した際だ。ここで富士ゼロックスは、ウィタカー氏の売り上げ偏重のマネジメントが不適切会計につながっていたことを突き止め、5月に退職を勧告した。
しかし富士ゼロックスは、こうした問題を親会社である富士フイルムHDに報告しなかった。
富士フイルムHDの助野社長は、「サンプリング調査によって『問題ない』とされていたFXNZの会計処理が、想定よりもひどい状況だと知ったのは16年9月。富士ゼロックスによる報告ではなく、ニュージーランドの現地メディアによる報道がきっかけだ」と話す。
しかし、助野社長が現地報道の真偽を富士ゼロックス側に問い合わせたところ、吉田副社長の回答は「そのような事実はない」。あくまで会計処理に問題はないとの姿勢を崩さなかった。
その後、16年10月末からFXNZの年度監査を開始した監査法人が、現地の報道内容を踏まえて、不適切会計の事態を解明する作業を開始。調査は17年3月末までかかったが、売り上げの前倒し申告が多発していたことを確認した監査法人が富士フイルムHDに「FXNZの会計処理に不正が存在するかもしれない」とのレターを送付した。
レターを受領した富士フイルムHDは、直ちに社内調査委員会を組織し、調査を開始。事態の重大性を考慮して決算発表の延期を決定し、第三者委の立ち上げに至った。
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