だからミニストップの「ハロハロ」は売れている、知られざる“実験力”:水曜インタビュー劇場(シャリシャリ公演)(5/6 ページ)
ミニストップの「ハロハロ」が売れている。1995年に発売したロングセラー商品で、今年は7種類も投入する。同社は過去最高の売り上げを狙っているが、どのような人が購入しているのか。また、どのようにして開発しているのか。その舞台裏に迫った。
味を追求して、オペレーションを簡素化
山盛: 最も注目するのは、やはり「売り上げ」ですね。ただ、売り上げがよかったからといって、すべての商品を販売しているわけではありません。例えば、オペレーションがとても難しい場合があるんです。「トッピングがやりづらい。これじゃあ、店でつくることができない」という声が多ければ、商品化は難しい。なぜか。店には10代から80代の人まで働いていて、全員がハロハロをつくらなければいけません。また、アルバイトも多い。仕事に慣れてきたら、ハロハロをきちんとつくることができなければいけません。
お客さまから「ハロハロでこうした味をつくってほしい」「もっと複雑な味をつくってほしい」といったご意見をいただくことがあります。開発担当者はそうした商品をつくろうと思えばつくれるのですが、やらない。なぜなら、全店でつくれるモノでなければいけないから。味を追求しながら、オペレーションをできるだけ簡素化する。開発担当者は、この2つを両立させなければいけません。
土肥: オペレーションが複雑だったので、商品化が難しかった商品はありますか?
山盛: 残念ながら、あります。例えば、2015年にヒットした「黒蜜きなこ」もさまざまな問題があったのですが、それをクリアしたので販売することができました。この商品はきな粉を使っている……つまり大豆が入っているんですよね。大豆はアレルゲンに該当するので、取り扱いには注意が必要になります。しかし、実験してみると問題が出てきました。きな粉は大きな袋に入っていて、そのまま商品にかけてみたところ、周囲に飛び散ってしまうことが分かってきました。
きな粉は細かいので、どうしても飛び散ってしまう。使うときに、飛び散らないようにするにはどうすればいいのか。当初の袋は四角形だったので、その形に注目しました。袋の形を細長くして、口元を小さくすれば、飛び散ることを防ぐことができるのではないか。このように考え、試作品をつくりましたが、うまくいきませんでした。口元が小さいので機械がきな粉を入れることが難しくなったんです。ただ、メーカーさんに無理を言って、対応していただけることになりました。
また袋を細長くすることで、新たな問題が出てきました。形状を変えたことで、きな粉の塊がどうしてもできてしまう。これではいけないということで、細長い袋に入れてもきな粉らしさがきちんと残るきな粉を見つけて、それを使うことにしました。このようにオペレーションの問題をクリアして、やっと発売することができました。
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