“痛み”を取るデジタル化提案 GEの戦略:実践によるノウハウ提供(2/4 ページ)
米ゼネラル・エレクトリック(GE)は、自社開発したプラットフォーム「Predix」を活用したソリューション提案に乗り出している。自社工場をデジタル化した経験を生かす。GEがデジタルトランスフォーメーションを推進できた理由とは……。
医療機器工場の取り組み
―なぜ自信を持って成果重視の提案ができるのですか。
私たちは自社で実践し、効果が出ているからです。その事例もお客さんにお伝えすることができます。同じ製造業のプレーヤーとして、「私たちの工場はこういう形で取り組んで、こんな効果が出ました。どうですか?」と提案できるため、おそらく他の競争相手とは話の内容が違います。一般的なソフトウェアプロバイダーとは違って、自社がテストケースになっているのです。
―自社の事例とは? どのような取り組みをお客さんに紹介しているのですか。
分かりやすい例は、東京都日野市にあるGEヘルスケア・ジャパンの工場です。医療機器の製造現場で実践している「ブリリアント・ファクトリー」という取り組みです。デジタルを使って、作業にかかる時間を見える化して改善を図ったり、データを一覧表示する機能を取り入れたりと、さまざまな取り組みをしています。
具体的な例を挙げると、オペレーターの制服に発信機(ビーコン)が付いていて、工場内の動きが分かるようになっています。画面上でその動きを見ると、個人、あるいはチームとして、「こういう動きが多いな」などといった発見があります。製造ラインで作業する際に、取り付ける部品を何度も取りに行くような動きです。近くに置いた方が早いことが分かり、改善できます。
―日本企業に提案しているソリューションはどのようなものですか。
例えば、住宅設備メーカーのLIXILグループにPredixを導入しました。新築の家にバスタブなどを納める際、工事が必要になりますが、その施工人員の割り振りを自動化しています。「案外、大したものじゃない」と思われるかもしれません。しかし、家のサイズ、道路の幅、施工する技術者の状況、また、1階から入れられるか、2階から入れるならクレーンはどうするか……。さまざまな条件があることで、手配作業が煩雑になるのです。属人的になっていたこの作業を自動化することで、効率化しました。これは、GEの本来の事業とは全く異なる分野に、私たちが持っているスケジューリングの専門性などを提供できたという事例です。
また、これは私たちにもなじみがある分野のソリューションですが、東京電力フュエル&パワーの発電機のデータをPredixのクラウドで管理することで、メンテナンスを最適化しています。エンジニアやメンテナンス担当者に、どのタイミングでメンテナンスをすると最も効率がいいか、という情報を伝えることができます。以前は、何週間に1回、あるいは異常が起きてからメンテナンス、という流れだったかもしれませんが、最適のタイミングでメンテナンスすることによって、ダウンタイムを減らすことができました。
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