好みのお酒を提案 接客を支えるAIとは:伊勢丹新宿本店で導入(2/3 ページ)
伊勢丹新宿本店で実施している、AIが自分に合ったお酒をおすすめしてくれるサービス。店舗の接客サービスを高めるツールとして活用されている。
味覚から好みのお酒を探す
では、どうやって最適な商品を提案しているのか。AIが学習しているのは、三越伊勢丹HDの社員や店舗スタッフの味覚データ。日本酒の場合、あるお酒に対して、酸味・甘味・芳醇・うま味・余韻について、感じ方とそれに対する好みを入力している。そのデータから、味の好みとそれに合うお酒を分析しているという。
分析の方法は、「試飲あり」と「試飲なし」がある。試飲をする場合は、3種類のお酒を飲んで、好みや感想を入力し、お酒と合わせたい料理を指定する。試飲なしの場合は、パスタ、鍋、中華まんの種類の中から好みの味をそれぞれ選び、最後にお酒と合わせたい料理を指定する、という流れだ。そうすると、Pepperがお酒を選んでくれる。
実際に、記者も日本酒の試飲なしのバージョンを試してみた。まずはPepperの案内に従い、味の好みを選んでいく。ミート系やオイル系、クリーム系など5種類のパスタ、しょうゆベース鍋やキムチ鍋、豆乳鍋など6種類の鍋、肉まんやあんまん、ピザまんなど6種類の中華まんからそれぞれ好きな味を選ぶ。複数回答可のため、ついつい選びすぎてしまう。
味を選んだ後に商品の価格帯を指定すると、最後に「一緒に味わいたい料理」の候補が表示される。刺身やハンバーグ、豆腐など18種類もの料理から1つを選ぶと、おすすめの日本酒が出てくる。銘柄や地域、価格などが表示されるほか、Pepperがお酒の特徴や飲むタイミングまで教えてくれた。一緒に味わいたい料理は「白身の刺身」「赤身の刺身」「焼き鳥(タレ)」「焼き鳥(塩)」など選択肢が細かく、結果が出た後に選択画面に戻って料理を選び直すと、違う結果になることもあった。
体験でおすすめされたのは富山県の「満寿泉」。さまざまな料理に合わせやすいお酒のようだ。好みの味をたくさん選びすぎたからだろうか。日本酒の場合、AIは約100種類の銘柄を学習している。イベントでは、取り扱う銘柄に合わせて、約30種類の中から提案しているという。
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