コピーライターの独創性が役に立たない時代:“いま”が分かるビジネス塾(3/3 ページ)
これまで人間の感性が必須と思われていた仕事にもAI(人工知能)化の波が押し寄せている。数年後にはプランナーやコピーライター、デザイナーなどクリエイティブ関連の業務が激減する可能性もある。
求められているのは独創性よりも……
一般的に広告業務のAI化は、CMプランナーやクリエイティブディレクターの仕事を奪うとイメージされている。実際、そうした側面があることは否定できず、AI化が進めば、広告業界において必要とされるクリエイティブ関係の人材は今より少なくなる可能性が高い。
これまで広告のコピーには、一種の独創性が求められると認識されていた。それは、リアルタイムでコピーの内容を変えられないという制約が存在していたからである。
だがネット広告を中心とした新しい広告媒体は、動的にいつでも内容を変更することができる。コピーライティング業務に求められるのは、独創性よりも大量のコピー生産能力や過去データの分析能力、あるいは即時対応能力であり、これはまさにAIが得意とする分野である。
その結果、広告における一種の「芸術性」は失われ、状況に応じて中身が変わる機械的なコンテンツという位置付けになる。
これは音楽や出版など、コンテンツに関連した別の業種でも同じことが言える。AIの普及によって仕事がなくなるということよりも、仕事の質が変貌するインパクトの方がはるかに大きくなるだろう。
加谷珪一(かや けいいち/経済評論家)
仙台市生まれ。東北大学工学部原子核工学科卒業後、日経BP社に記者として入社。
野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当。独立後は、中央省庁や政府系金融機関など対するコンサルティング業務に従事。現在は、経済、金融、ビジネス、ITなど多方面の分野で執筆活動を行っている。
著書に「AI時代に生き残る企業、淘汰される企業」(宝島社)、「お金持ちはなぜ「教養」を必死に学ぶのか」(朝日新聞出版)、「お金持ちの教科書」(CCCメディアハウス)、「億万長者の情報整理術」(朝日新聞出版)などがある。
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