トランプか金正恩か、それとも……。本当に「クレイジー」なのは誰だ:世界を読み解くニュース・サロン(4/5 ページ)
相変わらず、トランプ大統領のツイートが話題になっている。北朝鮮に対して過激な発言が続いているが、その裏には何があるのか。ビジネスマンとして成功したトランプ流交渉術のひとつなのかもしれない。
習国家主席もプーチン大統領も「クレイジー」なのか
CIA(米中央情報局)に設置された新しい北朝鮮作戦部のイ・ヨンソク副部長補佐が、金委員長は体制維持を目指す「理性的な人物」であると評し、「金正恩はある朝起きて、突然ロサンゼルスへの核攻撃を決めるような人物では決してない。彼は長く北朝鮮を統治したいし、自分のベッドで安らかに一生を終えたいのだ」と分析していると報じられている。また「朝鮮半島有事を一番望んでいないのは金正恩」とも、この副部長補佐は述べている。
さらに別のCIA高官は、「北朝鮮は明らかに、米国と国際社会の忍耐を試している」とし、核・ミサイル実験などを1つ1つ実施して、米国や国際社会がどこまで受け入れるのか見定めながら様子を見ているという。
金委員長は決してクレイジーではないということだ。そもそも、金正恩がクレイジーなら、金正恩の後ろ盾になってきた中国の習近平国家主席もロシアのウラジーミル・プーチン大統領もクレイジーということになるのではないか。
というのも、金正恩は、核・ミサイル実験もさることながら、中国と近い親族を粛清したり、政敵を次々容赦なく消してきた。そう考えると、金正恩は確かにクレイジーかもしれない。
ただそれならば、中国の習近平国家主席も、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領も同じカテゴリーに入りそうだ。
まず核・ミサイル危機という意味では、習もプーチンも核弾頭を搭載して米国へ落とすことができるICBM(大陸間弾道ミサイル)を所有する。中国は2016年4月に、米国の標的を30分以内に攻撃できる新しいICBMの発射実験を行っているし、2017年8月には韓国に配備された米国の高高度迎撃ミサイルシステム(THAAD)に見立てた標的へのミサイル発射実験も行っている。ロシアも2017年9月12日に、北西部アルハンゲリスク州からカムチャツカ地方に向けて、また20日には南部カプースチン・ヤールから、ICBMの発射実験を行っている。ただ北朝鮮とは違ってまったくニュースにすらならない。
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