「モテクリエイター」ゆうこすが語る、好きなことをやり続ける勇気:企業のマーケッターも注目(1/3 ページ)
さまざまなSNSで女性からカリスマ的な支持を得ている、“ゆうこす”こと菅本裕子さん。元アイドル、元ニートという鮮烈な人生を歩み、今では好きなことだけが仕事になっているという彼女の転機とは――。
いきなりだが、「モテクリエイター」を名乗る菅本裕子さん(ゆうこす)をご存じだろうか?
InstagramやTwitter、LINE LIVEなど複数のSNSを駆使したセルフプロデュースによって、現在累計80万人超えのフォロワーを抱える。それぞれのSNSでは、主にコスメやファッションに関する情報が発信され、フォロワーの多くは若い女性。彼女らのカリスマ的な存在だと言える。女性向けのサービスを展開する企業も彼女の影響力に注目しており、最近は企業とのタイアップ企画の配信も増えている。今や女性ファンだけでなく、企業でマーケティングやプロモーションを担当するような男性ビジネスパーソンからも彼女の動向に関心が集まっているのだ。
菅本裕子さん(ゆうこす)。1994年5月20日生まれ、福岡県出身。「モテクリエイター」として活動。Instagram、Twitter、LINE@、YouTubeなどSNSを駆使した自分プロモーションで、20代女性を中心にファンを広げている
一見、SNSの普及という時流に乗り、影響力を得た成功者のように見えるかもしれないが、実は波乱万丈の過去がある。
ゆうこすさんは、かつて国民的アイドルグループに所属、加入早々に注目を浴びる期待のメンバーだった。しかし、加入から約1年で脱退。その後、実家に引きこもったり、親からの仕送りだけでニート生活を送った時期もあるという。そうしたどん底を乗り越えて、現在では多くのファンに愛されているゆうこすさん。諦めずに成功をつかむことができたのは、「好きなことをやり続ける」という勇気と信念だった。
知名度があっても応援されていない
ゆうこすさんのサクセスストーリーは、ある大きな挫折から始まる。
2011年、ゆうこすさんは福岡・博多を拠点とする国民的アイドルグループHKT48の第1期メンバーとして加入する。当初から期待を集めていた彼女は、加入するなりテレビやラジオの出演が決まり、デビューした年の紅白歌合戦にも出場した。握手会を開催すれば、彼女の前には長い列ができるという華々しい活躍ぶりだった。
さまざまな事情によって2012年にグループを脱退したが、その後始めたTwitterは、すぐにフォロワー数が4万人を超えた。ゆうこすさんは「そうした恵まれた環境に、自分は何でもできるのだと思い込んでいました」と振り返る。
しかし、厳しい現実を突きつけられる“事件”が起きる。あるファンイベントを開催したところ、そこに集まったのはたったの3人だったのだ。Twitterのアカウント上では多くのフォロワーがいるはずだったが、実際に彼女に会いにきたファンの数はその1万分の1以下。そこでようやく「知名度があることと応援されることは違う」ことに気付いたのだという。
これをきっかけに、単にフォロワー数が多いといった知名度ではなく、自分のことを心から好きだと言ってくれるファン1人1人を大切にしようと誓った。それは、誰からも好かれようとして、周囲の声に翻弄(ほんろう)されていた自分からの決別でもあった。当時は、「とにかくモテたい」とすべての人に好かれようとするあまり、アンチのネガティブな指摘も受け入れ、落ち込みつつも、それを直さなくてはと自分を変えようとして、どんどん自分を見失っていった。どうにかして多くの人に受け入れてもらおうとした結果、「面白みのない、空気のような人間になってしまった」とゆうこすさんは吐露する。
あるとき、ふと立ち止まって考えた。「本当にこのままでいいのだろうか。ネガティブなことを言われて傷つくくらいだったら、好きなことだけをやり続けて、それを応援してくれるファンだけと向き合うべきなのでは」と、新たな自分に生まれ変わる決意をしたのだ。
関連記事
- AKB48選抜総選挙、沖縄開催の“本当”の理由
今週末に沖縄で「AKB48選抜総選挙」が開催される。同イベントは毎年大きな経済効果を生み出していて、今や地方の企業や自治体にとっても喉から手が出るほどのものになった。これまでは姉妹グループがある都市で開かれていたが、現状その条件に該当しない沖縄は“異例”。その舞台裏に迫った。 - 辛くても諦めず 「キャプテン翼」高橋陽一さんの漫画家人生
日本のサッカー界に大きな影響を与えた少年漫画「キャプテン翼」。作品のテーマである、諦めずに夢を追い続けることは、作者である高橋陽一さんの漫画家人生そのものである。 - 酒井若菜さんが“物書き”として伝えたいこと
女優の酒井若菜さんが文筆家としての一面も持っていることをご存じだろうか。これまでに小説やエッセイを出版し、先月には初の対談集「酒井若菜と8人の男たち」を上梓した。酒井さんが文章を書くことで伝えたい思いとは何だろうか――。 - 「自分爆発レディ」? 命名の意図、博報堂に聞く
「自分爆発レディ」という言葉が物議を醸している。子育てを終えて自分の時間を楽しむ40〜60代女性について博報堂が命名したもので、ネットで話題に。反発の声も大きいこの言葉には、どのような意図があるのか? 博報堂の担当者に話を聞いた。 - 「仕事は与えられるものではない」――私の行動を変えたある事件
MAXとしてデビューしてから順調に活動を続けていた私たちに、ある日突然、事件が起きました。それまで仕事は自然とやって来るものでしたが、その価値観が180度変わってしまったのです……。 - 真っすぐな“子ども心”を失った大人になっていませんか?
キャスターの内田恭子さんにとって「本」は人生の大切な一部だそうです。本から学んだこと、影響を受けたことは数知れず。この連載ではその中で出会った本たちをエピソードとともに紹介します。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.