「モテクリエイター」ゆうこすが語る、好きなことをやり続ける勇気:企業のマーケッターも注目(2/3 ページ)
さまざまなSNSで女性からカリスマ的な支持を得ている、“ゆうこす”こと菅本裕子さん。元アイドル、元ニートという鮮烈な人生を歩み、今では好きなことだけが仕事になっているという彼女の転機とは――。
「モテクリエイター」というポジション
ゆうこすさんはすぐさま行動に移す。自分の好きなことをSNSで発信しようと決め、徹底的に自己分析を行った。好きなことをするとは決めたが、ファンがいることの重要性も身に染みている。
自分が好きなことで、かつ世の中に求められる領域はどこなのか、そこでどのようなポジションを目指すべきか、繰り返し考えた。そうしてたどり着いたオンリーワンのポジションが「モテクリエイター」だった。自分の好きなコスメやファッションを、「モテたい」と思う女子に向けてSNSで発信するのだ。
「自分のことを好きと言ってくれる人だけしか見ないようにしました。そうすると、自分にとってポジティブな情報しか入ってこないので、どんどん前向きになれたのです」。ポリシーを持ってブレずに自分の好きなことを発信し続けていると状況は変化した。少しずつだが女性のフォロワーが増えてきたのだ。そして新たにInstagramのアカウントを開設したところ、これがきっかけとなって一気にファンを増やすことに。
その後、毎日地道にSNSで発信を続けたゆうこすさんは2017年4月、初のスタイルブック「#モテるために生きてる!」を発売した。その出版記念を兼ねて翌月に自身のバースデーイベントを開催したところ、発売したチケット計170枚がすぐに完売したのだ。「信じられなくて、誰かのイタズラかと思った」という。
数年前はイベントを開いてもほとんど人が集まらなかったのに、今やチケットは即完売。さらに驚くべきことに当日会場に集まったファンのほとんどが女子だった。好きなことを共感してくれる人のために、丁寧に発信するという1つ1つの行動の積み重ねが、集客力とファン層の変化として現れたのだった。
このイベントで、自分の好きなことに共感してくれるファンは女子たちだと改めて認識した。そしてこれを強みに、ずっと挑戦したいと思っていた夢が次々と叶うようになる。
今、彼女はモテクリエイターとして独自のポジションを獲得し、ファッションブランドとコラボしたりコスメメーカーとタイアップしたりと、着実に“好き”を仕事にしている。ゆうこすさんいわく、好きを仕事にするために重要なのが、自分が何者であるかを明確に語れることだという。
仕事を発注するクライアントにとって、何ができるかがハッキリとしない人に対しては、何を期待すればよいのか分からない。つまり仕事を依頼しにくいのだ。ゆうこすさんも自分自身について、モテクリエイターを名乗る前やスタイルブックを発売する前は、周囲からは元アイドルなのか、タレントなのか、結局何をする人なのか理解できなかっただろうと感じていた。そうした点で周囲に理解しやすい肩書きを持つことは確かに有効で、さらにコアでニッチであるとより良いことを証明した。
一方、舞い込んでくる案件が増えてくると、仕事によってはクライアントから干渉を受けることもあるはずだ。そうしたときにどうしているのか。ゆうこすさんは、クライアントにはっきりと意思を主張する。やりたくないことはやらない。あくまでも好きなことだけをやる。それは自分のSNSアカウントの空気感や世界観を守るためであり、それがフォロワーであるファンとの信頼の証だからだ。
わがままな姿勢に見えるかもしれないが、これはクライアント、ファン、ゆうこすさん本人にとって良い結果をもたらす。なぜならファンが何に興味を持つかについては彼女自身が一番理解しているので、最も喜ばれるアピール方法をクライアントに提案することができるからだ。
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