これから急増する英語教師を「警戒」すべきか:世界を読み解くニュース・サロン(3/4 ページ)
都立高校に勤める米国人の英語教師が、16歳の女子高生にわいせつ行為をしたとして逮捕された。このようなニュースが報じられると、「外国人は危ない」といった声が出てくるが、本当にそうなのか。大切なことは……。【訂正】
重要な課題が浮かび上がった
JETの運営は総務省や外務省などが協力していて、実務は都道府県の地方公共団体が担当している。学校に配属されるALT、地方公共団体の国際関係担当部署に配属される国際交流員(CIR)、各地のスポーツ関係部署で勤務するスポーツ国際交流員(SEA)の3種がある。
外国人の採用条件は、日本に興味がある大学卒業または同等の資格をもつ外国人で、過去10年に合計で6年以上日本に住んでいない人。勤務は週(基本的に月曜から金曜)に35時間で、初任給は336万円。4年目になると、その額は396万円に上る。
2016年7月時点、このプログラムには、世界40カ国から4952人が参加している。内訳は、米国人が圧倒的に多く、2814人。次いでカナダ(500人)、英国(409人)、オーストラリア(340人)、ニュージーランド(237人)、ジャマイカ(105人)と続く。中国(68人)や韓国(56人)からも参加者はいる。
JETだけをみても約5000人も真面目に教育に従事していることになるが、そんな中に、JETではないアリソンのような英語教師もいる。もっといえば、1987年に始まり、これまで6万5000人が参加していることを考えればわいせつ事件のようなトラブルは少ないと言える。
ただ、今回のケースでは重要な課題が浮かび上がっている。外国人教師らに関する情報共有だ。処分や有罪判決の記録が共有されていなかったために、アリソンは教師として日本国民の税金から給料をもらいながら犯行を繰り返すことができた。情報が十分に共有されていたら今回の事件は起きなかったとの指摘もある。
今回のケースを聞いて筆者は少し前に取材した別の教育機関の問題を思い出した。関東のインターナショナルスクールでの事件だ。
インターナショナルスクールは、そもそも日本にいる外国人が通う学校であるが、最近では、芸能人などが自分の子どもを通わせているので、特別な学校のように見られている。また外国に住むような生活とは無縁の日本人家庭でも、ステータスのために子どもをインターナショナルスクールに入れたい人たちが多いとも聞く。
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