採用現場で「AI面接官」は普及するのか:HR Tech最前線(3/4 ページ)
ソフトバンクがエントリーシート(ES)選考にAIを活用するなど、採用業務の自動化が着々と進んでいる――。実は、こうした動きはESだけでなく「人がやるもの」と考えられてきた面接業務にも及んでいる。AI面接官「SHaiN」(シャイン)を開発したタレントアンドアセスメントの山崎社長に話を聞いた。
受験者にもメリットがある
――しかし、面接を機械に任せてしまうと受験者の雰囲気や、いわゆるコミュニケーション力などが判断できないのではないでしょうか。
山崎: 実は、カメラによる映像分析も加えておりますので、その心配はありません。端末のカメラで面接の開始時と終了時の表情を撮影するほか、面接中にもランダムで撮影し、表情や態度の変化を記録しています。
また、コミュニケーション力というのは、いかに饒舌(じょうぜつ)に話せているかというよりも、きちんと会話のキャッチボールができているのかということです。
ですからシャインの質問に対して、的確に答えられているのかを分析することで、表現力、理解力、コミュニケーション力などを判断することができます。
――受験者としては、やはり人に面接して判断してもらいたいのではないでしょうか。
山崎: 意外かもしれませんが、今夏に朝日新聞が実施した調査で、人が行う面接よりも、判断基準が統一されたAI面接の方が好感が持てるという結果も出ています。人の場合、どうしても属人的な判断に頼らざるを得ない部分があります。面接を受ける順番などで印象も異なりますし、誰が面接官になるのかによっても結果が変わってしまうからです。
機械であれば、そうしたいわゆる“運”に左右されません。公平な判断をしてくれるという点で、受験者もメリットを感じています。
また、受験者も好きな場所、タイミングで受験ができるので、就職活動を効率よく進められますし、交通費も掛かりません。結果として、より多くの企業を受けることが可能になります。
企業としても、面接のシステム化は喫緊の課題です。1次面接で聞いたことを2次面接でも聞いていたり、逆に聞き漏らしてしまうなど、これまでの面接はシステム化されてないが故に非効率でした。質問自体が統一されていないようなケースもあります。
また最近では、圧迫面接をしてしまったために「ブラック企業」という印象を世間に広めてしまい、評判を自ら下げてしまうケースも出てきています。属人的なやり方では、面接自体がリスクにもなってしまうのです。
こうした現状を重要課題と捉え、シムテム化していこうと考える企業は少しずつ増えています。具体的な数字はお答えできませんが、中堅・大手企業だけでなく、最近は行政(市役所)からも導入したいとの声をいただいています。
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