「定年後いくら必要なのか」 考えてもムダだった:定年バカ(2/3 ページ)
定年後、ゆとりを感じられる生活を送るためには、どのくらいの預貯金が必要なのか。多くの専門家がいろいろな意見を述べているが、結局のところ本人の生活によってその金額は大きく変わってくる。
預貯金がもつところまでいく、という「やぶれかぶれ型」だって別にいい
定年後のお金の問題は、実は分かりやすい。あるかないか、だけが問題で、資産ン千万円、年金の月額が夫婦で30万円以上あるなら、ほぼなんの問題もない。住宅ローンが残っていたが、退職金で一括残額返済した、という人も一安心であろう。月に5万円足りなければ、働くしかない。
働きたくもなく、預貯金を切り崩すのも嫌なら、生活を切り詰めるしかない。投資は考えない。素人が手を出すにはリスクが大きすぎる。
資産家は別として、「お金の不安を解決」するには、これらのどれかしかないのではないか。いや、お金はないがどれも嫌なんだけど、という人には、つける薬はない、といいたいが、ないわけではない。稼ぎもせず、生活も切り詰めず(野放図なぜいたくをするのではない)、普通に生活して、預貯金がもつところまでいく、というやぶれかぶれ型である(預貯金がなければ、さすがにつける薬はない)。私は、そこまで思い切る度胸はないが、気分としてはそれに近いものがある。
私はそれを、なるようになる派といいたい。しかし実体は、破滅型だろう。それでも、そんな考えが好きなのは、お金のない不安やストレスとほとんど無縁でいられるからである。
どうせお金がないのなら、焦ったところでなんにもならない。なるようになる、なんとかなる、と気楽に考えたほうがよほどいい。お金の多寡は、自分の意志ではどうにもならないが(多少はなんとかなる)、気持ちは自分の考え方次第でどうにでもなるからである(相手がいる場合は、どうにもならないこともあるが)。
定年時に、退職者によって資金状況に格差があるのはしかたない。定年者ともなれば現実的だから、そのことを嫉妬したり嘆いたりする人は少ないと思う。満足はしていないにしても、ほとんどの人が自分の状況のなかでじっと生きているのではないだろうか。けっこう楽しく生きている人だって少なくないはずだ。お金はいうまでもなく生活の基礎だが、それだけで定年後の生活のすべてが決まるわけではない。生活はもっと総合的なものである。
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