サンフランシスコ「慰安婦像」の背景に、何があったのか:世界を読み解くニュース・サロン(1/5 ページ)
サンフランシスコで「慰安婦像」が設置された。この事態を受け、大阪市はサンフランシスコとの姉妹都市を解消すると発表したが、設置した関係者と議論することはできなかったのか。
数年前のことだが、半世紀以上前に渡米し、首都ワシントンDCの米連邦機関に長く務めた日本人女性を取材する機会があった。
取材後、クルマで訪れていた私に、彼女は行きたいところがあると言う。そこで、その女性と同世代の友人である日本人女性も誘って一緒にDCの郊外にあるヴァージニア州フェアファックス郡に向かった。
彼女に指定された郡政府センターの敷地内にある公園の片隅には、第二次大戦中の日本軍に強制させられた従軍慰安婦のための記念碑が設置されていた。
この石碑の記念碑は、DCの韓国系組織である「Washington Coalition for Comfort Women Issues, Inc.(ワシントン慰安婦問題連合)」が同地域に暮らす韓国系住民だけでなく、ロビー活動で議会議員などの支持を取り付けて2014年に設立したものだ。探すのに苦労するほど離れた一角に置かれたその記念碑にはこう書かれていた。
20万人以上の韓国、中国、台湾、フィリピン、インドネシア、マレーシア、ベトナム、オランダ、東ティモールの女性や少女が、第二次大戦中に日本帝国軍によって、強制的に性奴隷にされたり、婉曲的に“慰安婦”と呼ばれた――。
最近、サンフランシスコで「慰安婦像」が設置されたことで(実際には像は民有地に設置されて市に寄贈された)、大阪市が姉妹都市関係を解消すると発表して話題になっている。これまで米国ではカリフォルニア州グレンデール市とジョージア州ブルックヘブン市で慰安婦像がすでに設置されており、像としてはサンフランシスコで3例目となる。
実はこのサンフランシスコの像は、米国内の他の像とは少し様相が違う。というのも、その像設置に中心的に動いた団体が韓国関連ではなく中国関連であり、さらにその活動を率いているのが、中国系米国人たちだからだ。そこでその団体から、今回のサンフランシスコ問題の背景に何があるのか見てみたい。
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