サンフランシスコ「慰安婦像」の背景に、何があったのか:世界を読み解くニュース・サロン(2/5 ページ)
サンフランシスコで「慰安婦像」が設置された。この事態を受け、大阪市はサンフランシスコとの姉妹都市を解消すると発表したが、設置した関係者と議論することはできなかったのか。
米国の日系人はどう見ているのか
本題に入る前に、筆者はこうした慰安婦の記念碑問題が出るたびに、米国の日系人はどう見ているのだろうかと思ってきた。個人的にこれまで、米国での取材を通して多くの日系人と接する機会があったが、最近は機会があればそうした動きをどう思うのかを尋ねてきた。
基本的に多くが慰安婦関連の動きに否定的だった。またアジア系が多く暮らすカリフォルニア州などでは、特に戦中・戦後から米国に暮らすアジア系住民の間では、いろいろと目に見えない“壁”があることも分かった。
米国に50年以上暮らす冒頭の日本人女性2人も、フェアファックスの記念碑を前にして、首を傾げながら批判的な言葉を口にした。彼女たちは、もちろん韓国系の友だちもいると言いながら、「これは信じられないことよね」「許してはいけないと思うわ」「なぜこのようなモノをつくるのか、目的が分からない」と嘆いた。
ロサンゼルス地区に暮らすある年配の日本人女性も、以前、ロスで韓国系が日本人街(リトル東京)で日系人のふりをして幅を利かすようになっていると苦言を呈し、慰安婦についても「韓国に対して戦時中のことで謝罪も賠償もしているのに」と何度も述べていた。サンフランシスコに実家がある、とある若い日系人は、筆者に対していつも、露骨に韓国系米国人がいかに街のトラブルメーカーであるかを口汚く語っていた。
米国内ではアジア人の間でもお互いにそんな認識が現実として存在しているらしい。もちろんアジア人が人口の35%以上を占めるサンフランシスコも例外ではない。
そして今回の慰安婦像問題は、これまで米国で設置されている2つの像やいくつもの記念碑とは意味合いが大きく違う。慰安婦像が初めて、サンフランシスコという米国の主要都市で設置されたからだ。これは慰安婦問題の活動を行っている側にとっては大きな勝利だと言える。
またグレンデールやブルックヘブンの像が韓国系の組織によってつくられたのとは違い、今回のサンフランシスコは韓国系の組織が直接動いて設置を実現させたのではなく、中国系米国人の元判事2人が中心となって動いて設置にこぎつけている。
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