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アドラーの岸見一郎さんに聞く、職場で嫌われる勇気水曜インタビュー劇場(4年連続トップ3入り公演)(2/6 ページ)

2013年に発売された書籍『嫌われる勇気』が、いまも売れている。ビジネス書のランキングでみると、4年連続でトップ3入りしていて、この数字は史上初の快挙だという。本書は対人関係の接し方などを深く掘り下げているが、職場での嫌な上司にどのように対応すればいいのか。著者の岸見一郎さんに聞いた。

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お金さえあれば幸せになれる=幻想


『嫌われる勇気』『幸せになる勇気』著者の岸見一郎さん

土肥: 職場で不満を感じている人ってたくさんいますよね。理由を聞いてみると「上司が評価してくれない」「部下が生意気」といった対人関係のほかに、お金に関する不満も多い。ある調査によると、転職を決意したきっかけは「お金」がトップでした。会社の業績がよくなければボーナスはたくさんもらえない、自分の成績がよくなければ給料は上がらないといった前提はあるのですが、こうしたお金に関する不満に対して、サラリーマンはどのようにして折り合いをつけていけばいいのでしょうか?

岸見: ある本にこのようなことが書かれていました。「毎月、死ぬまで100万円をもらえるとしたら、あなたはいまの仕事を続けますか?」と。毎月100万円をもらえるのであれば、生活がかなり安定するので、「辞める」という人もいるでしょうね。人の考えを左右するくらい「お金」は大きな影響をもっています。では、給料が少なかったら仕事のやる気が失われるのでしょうか。必ずしもそうではないと思います。

 私は40歳まで常勤の仕事に就かず、大学の非常勤講師などをしていたわけですが、生計を立てられるほどの収入はありませんでした。経済的に報われない日々を送っていたのですが、「自分は惨めだ」とか「自分は不幸だ」と感じたことは一度もありません。給料が少ないからやる気が起きないという人がいるかもしれませんが、だからといって自分の価値が下がるわけではありません。そのように感じている人は、給料が少ないからといって仕事にやる気を感じることができないとは思わないのではないでしょうか。

土肥: 「給料が少ない=自分の価値が下がるわけではない」ということは頭で理解していても、実際に仕事をしていて、残業、残業また残業の日々を送っていて、「これだけのお金しかもらえないのか」となると、不満を感じて、やがてやる気を失っていくのではないでしょうか。

岸見: そうした人は「お金さえあれば幸せになれる」と思っているのかもしれません。しかし、きっぱりと言います。それは「幻想」です。

土肥: ちょ、ちょっと待ってください。

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