AI、自動運転、信頼回復…… 企業トップの言葉から読み解く2018年:激変のビジネス環境
ビジネス環境の変化が激しい中、2018年はどのようになっていくのだろうか。企業が公表しているトップの年頭あいさつから、そのヒントを読み解く。
新年を迎え、新たな気持ちで仕事始めを迎えた人が多いだろう。ビジネス環境の変化が激しい中、2018年はどのようになっていくのだろうか。企業が公表しているトップの年頭あいさつを読むと、そのヒントがつかめるかもしれない。
AIなどの技術革新が加速
日本商工会議所の三村明夫会頭は「不確実で、変化のスピードが速い時代の中では、民間企業の経営者の役割がますます重要となっており、おのおのの経営者が『企業は何のために、誰のために存在するのか』を考え、その中で具体的にどう行動するべきかが問われています」と指摘。企業が抱える課題として、「人手不足の克服」「事業承継」「地方創生」を挙げ、それらを「解決・克服していくための1年にしたい」と決意を示した。
技術革新による変化をポイントとして掲げる経営者も多い。三菱商事の垣内威彦社長は18年の経済状況が好調に推移すると考える根拠として、「(米Apple、Googleなどの)巨大ITプラットフォーマーの存在」、電気自動車(EV)や自動運転の開発が進む「自動車業界」、そして「人工知能(AI)」を挙げた。「人類が火や電気を初めて見つけたような、強烈な産業革命期に入っており、あらゆる産業が根本から立ち位置を変えようとしている」と強い表現で変化を捉える。
NTTドコモの吉澤和弘社長も「現在、『デジタルトランスフォーメーション』のうねりの中にある」と指摘。18年を「事業基盤の変革がスタートする重要な年」と位置付け、「『デジタルマーケティング』や『AIエージェント』を活用して、お客さま一人一人を理解し、絆をさらに深め、お客さまに一歩進んだ『お得・便利』をお届けします」と、技術革新によるサービス拡充の方針を示した。
信頼回復を急ぐ
不祥事や事故が発生した企業は、再発防止を徹底することで信頼回復を急ぐ。17年は神戸製鋼所や三菱マテリアル、東レの品質検査データ不正問題が発覚。日産自動車やSUBARUの完成検査でも不正があった。
三菱マテリアルの竹内章社長は、18年の重点施策の1つとして「CSRの徹底」を挙げた。複数の子会社で検査データの書き換えが行われていた問題について、「私自身が先頭に立ち、当社グループの総力を挙げて、早期収束に向けて迅速かつ的確に取り組んでいく決意」を表明。「『客先の品質基準を満たさない製品は決して出荷しない』ことを、改めて肝に銘じ、三菱マテリアルグループの社員としての誇りと自覚を持ち、品質意識の高い職場作りに取り組んでいただくことを強くお願いいたします」と社員らに呼び掛けた。
17年に停電などのトラブルが相次いで発生した東急電鉄。野本弘文社長は社員に対するメッセージの中で、「残念なことに、昨年は、田園都市線で当社起因による輸送障害が多発し、多くのお客さまに大変ご迷惑をお掛けするとともに、信頼を傷つけることになりました」と言及。緊急安全総点検の実施や事故発生後の初動体制の強化など、取り組みを始めていることを示し、「改めて、『安全の確保』の大切さを認識し、一人一人が当事者意識を持って、事故再発防止や万が一発生した場合の影響の最小化に努めてください」と呼び掛けた。
また、ホームドアの設置などによるトラブル未然防止の徹底、田園都市線の混雑率緩和などの施策について、スピード感を持って進めていくことを確認した。
18年も先進技術が著しく進歩することが予想される一方で、あらためてモノづくりやサービスの現場を見直すことが重視されそうだ。
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