海外で「児童婚」が問題に、日本はどうする?:世界を読み解くニュース・サロン(3/4 ページ)
最近、海外のメディアで「児童婚」のニュースをよく目にする。未成年者の結婚が問題になっていて、結婚年齢を引き上げる国が増えてきている。こうした動きに対して、日本はどうするのか。
日本は児童婚を許していることに
児童婚に反対活動をする米団体アンチェインド・アット・ラストは、児童婚が米国では驚くべき率で起きていると指摘する。「裁判所の許可」などの条件さえあれば、全米すべての50州で18歳未満の結婚が許される。同団体の調べによると「25の州では、最低結婚年齢を定めてもいない」という。
00年から10年の間、米国で確認された児童婚をした未成年者の数は、24万8000人に上る。ほとんどは少女が成人男性と結婚しており、14歳で結婚していたのは1000件近くいて、10歳で結婚していたケースも10件ほどあった。例えば米ニュージャージー州では、1995年から105人の男性が、13歳から15歳の少女と結婚しているらしい。アンチェインド・アット・ラストには、強制的に児童婚させられた人たちから助けを求める声が届いているという。
米国で児童婚が行われているのは宗教保守が多い地域や貧困地域などだと見る向きもあるが、実際は社会の幅広い層で見られると、英エコノミスト誌は指摘している。
そんな状況を変えるべく、法整備を進めている州もある。既出のフロリダ州だけでなく、マサチューセッツ州、ペンシルベニア州も法案を議論している。ただまだ反対している州もあり、ニュージャージー州やメリーランド州では提出された法案が棄却されている。またニューヨーク州は17年6月に結婚可能年齢を14歳から18歳に引き上げているが、現在も17歳以上で裁判所と保護者の許可さえあれば結婚は可能だ。
ここまで読んで、「おや」っと思った人もいるかもしれない。結婚可能の年齢がちょっと高くないかと。というのも、日本の結婚年齢は男性が18歳で、女性が16歳だからだ。世界的な流れで言えば、日本は児童婚を許していることになる。
関連記事
- 実は怖い、インド便のトイレ
航空会社のトラブルが相次いでいる。男性が警察に引きずり出されたり、母親がベビーカーを奪われたり。いずれも米国の航空会社で起きたわけだが、客室乗務員によると「インド便で深刻な問題がある」という。どういうことかというと……。 - 中国政府がいま最も恐れているのは、ネット上の「くまのプーさん」
中国共産党がネット上の検閲に力を入れている。いわゆる「サイバーポリス」と呼ばれる工作員が反政府的な発言などをチェックしているが、2015年に最も削除された発言は……。 - 核シェルターが売れているのに、なぜ業者は憂うつなのか
北朝鮮が6度目の核実験を実施した。自分の身を守るために「核シェルター」の販売数が伸びているそうだが、業者からは困惑の声も。どういうことかというと……。 - 北朝鮮が攻撃できない、米国も攻撃できない背景
北朝鮮が攻撃してくるかもしれない――。何度もミサイル実験を繰り返されると、多くの人がこのような不安を感じるかもしれない。では、米国政府はミサイル問題をどのようにとらえているのか。実は……。 - 金正男だけでない!? 殺人工作のリアル
金正日総書記の長男である金正男が、女性2人に襲われて暗殺される事件があった。この事件は大きく報じられているが、実は世界を見渡せば、国家が絡んでいるとされる秘密工作は少なくない。例えば……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.