先輩の叱責をバネに巨大案件を手にしたマルコメの営業マン:わずか数日で目標達成(2/4 ページ)
大手みそメーカーのマルコメで実績を上げ続けている営業マンがいる。若手のホープとして期待される彼は、入社2年目のとき、先輩からの叱責によって行動が大きく変わったのだという。
たった数日で営業目標を達成した巨大案件
そんな作本さんに大きな転機が訪れる。ある日、取引先である問屋から大手コンビニチェーンが中食の商品開発に当たって新たなパートナーを探していることを聞く。そのコンビニでは以前からみそを使ったおにぎりを販売していたが、地場のみそメーカーだったため、さらなる商品展開に難が生じていたという。そこでマルコメに声が掛かったのだ。上司からも「ぜひやってみろよ」と言われ、作本さんが主担当として企画作りから提案までを任されることになったのである。
作本さんにとってこれほどの大型案件は初めてだった。今でこそ末端のユーザーに対して直接アプローチしているが、当時は問屋に委ねたビジネスが多かったため、その先の大きなユーザーにたどり着くのは容易でなく、必然的に案件も大きくならなかったのだ。
コンビニの要望は、エリアに根付いた商品を作りたいということだった。作本さんは全国各地のみそを使った郷土料理を用意するとともに、付加価値を訴求するために当時マルコメで最も高価な天然醸造のみそを原料にしたおにぎりを提案した。その上で先方が求めるものと、マルコメが提供できるものをすり合わせていった。「使用するみそは長期間熟成させているものなので、いきなり今日、明日にほしいと言われても用意できません。生産工場と細かく調整をしながら、できるだけ先方のニーズに沿った提案をまとめました」と作本さんは振り返る。
提案内容はもちろんのこと、スピードも重視した。コンビニの中食は改廃が早く、1〜2カ月で商品サイクルは回るため、すぐに対応できないと話にならなかった。実際、この案件も声が掛かってから商品化まで半年もかからなかったという。
作本さんの提案は見事採用に。この大きな案件をまとめたことだけでなく、顧客との折衝や社内調整もスムーズにいったことが、彼にとって大きな自信になった。
「提案が採用されました、良かった良かった」と終わらないのが作本さんである。いずれこの商品が販売終了になる日のことを考え、そのときに大量の在庫を抱えないように行動した。
「このとき商品を販売したのは首都圏エリアの一部だったのですが、それでも4000〜5000店舗が対象でした。おにぎり1個に使うみそは数グラムでも、全体では1日でとんでもない量になります。無駄が出ないように原価設計や生産をコントロールするのが大変でした」(作本さん)
工場とのコミュニケーションを重視し、毎日何度も売り上げなどのデータをすべて報告し、彼らの負担にならない形で生産量の判断をしてもらった。工場もフレキシブルに動いてくれたおかげで、1年半後に商品が終売になった際にもさほど大きな問題は起きなかったという。
ちなみに、商品が流通しているときには、作本さんの月間目標数字はたった3、4日で達成したそうだ。いかに大きな案件だったかが分かるだろう。
この経験を積んだことで、作本さんは何が変わったのだろうか。従来のように問屋に対する営業活動をしつつ、半期に1つは大きな案件を作ると心に決め、問屋の先にある大きなユーザーを探すような営業スタイルに変えていった。「業務用自体が伸びている時期だったので、変な言い方すると、普段どおりの仕事をしても営業数字は伸びていきました。ただ、それだと面白くないですよね。意識的に大きな数字を取りにいくための仕掛けを考えるようになりました」と作本さんは力を込める。
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