先輩の叱責をバネに巨大案件を手にしたマルコメの営業マン:わずか数日で目標達成(3/4 ページ)
大手みそメーカーのマルコメで実績を上げ続けている営業マンがいる。若手のホープとして期待される彼は、入社2年目のとき、先輩からの叱責によって行動が大きく変わったのだという。
牙城を崩す
業務用営業で力をつけた作本さんは、12年9月に大手スーパーなどを担当する市販用営業部門に異動となった。
これまでの業務用営業と違うところは、より顧客の顔が見える現場で仕事をするため、市場トレンドのキャッチアップなどが今まで以上に求められることである。
彼が担当することになったのは、北関東エリアで大きな勢力を持つスーパーだ。今までもマルコメはこのスーパーに営業攻勢をかけていたが、なかなか競合の牙城を崩せないでいた。具体的には、商品の棚作りはカテゴリーリーダーに指名されたメーカーに優位性があるため、シェアを広げることができなかった。
そこでマルコメでは競合からカテゴリーリーダーを奪取するべく、その営業担当として作本さんに白羽の矢が立ったのだ。
攻略するにあたり、現在このスーパーに並んでいる商品ラインアップと消費者のニーズに大きなギャップがあることを、同社が強みとしているデータ分析を武器に指摘し続けた。実際、同スーパーのみその売り上げは苦戦していた。例えば、生みそについて、無添加がトレンドなのに、そういった商品が置いてなかったのだ。
「とにかく市場データを説得材料に、緻密な提案をし続けました。以前からこのカテゴリーリーダーの牙城を崩すのは難しいと敬遠していましたが、店としても売り上げが伸びるほうが当然良いので、われわれの提案に徐々に心変わりしてきたのです」
そうした地道な積み重ねが実を結び、ついにカテゴリーリーダーにマルコメが指名された。当初は2、3年かかる読みだったが、1年半でその座を手に入れたのである。
カテゴリーリーダーになったことで、今ではみそに限らず、甘酒や米こうじ、大豆といった他の商品の棚でも提案しやすくなり、売り上げを伸ばしているそうだ。
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