女子アナから働き方を変えた前田有紀さんがいま伝えたいこと:好きをカタチにする行動力(5/6 ページ)
テレビ朝日のアナウンサーとして活躍した前田有紀さんは、入社10年という区切りの年に退社。そこからフラワーやガーデニングの世界に飛び込んだ。彼女自身の歩みを振り返りながら、いま、そしてこれからをじっくりと語ってくれた。
突如モンゴルへ
そうは言っても、誰しもがこうした決断をできるわけではないのも確かだ。前田さんの行動力はどこから来るのだろうか。聞くと、新しい世界を見てみたいという「好奇心」が突き動かしており、これは昔から持って生まれた性格のようだ。
それを象徴するエピソードがある。
進学校だった高校では、1年生のころから大学受験に向けて皆勉強を始めていた。夏休みには夏期講習のために塾に通う同級生も多い中、前田さんは突如モンゴルに行くのだ。
「子どものころから乗馬をやっていたので、いつかは馬場の中ではなく、大草原を走ってみたいという思いがずっとありました。その思いが強くなりすぎて、皆が塾へ行く中、私はモンゴルへ行きたいからお金出してもらえませんかと親にお願いをしたのです」
いざモンゴルに訪れると、これまでにないような数々の体験をすることでさらに興味がわいた。そして、受験勉強が本格化する高校2年生の夏にも再びモンゴルへ足を運ぶのだ。
「それまでずっと日本で生活していたので、視野が一気に広がりました。ものがあふれている都会の世界から、何もものがない草原の世界へ足を踏み入れ、そこで感じたことはいまだに人生の指針になっています」
モンゴルで体験したことを論文にまとめ、大学のAO入試を受けたところ、SFCに合格した。「遠回りばかりしているようだけど、好奇心を持って行動すれば高いハードルも乗り越えられるのだなと実感しました。もしモンゴルに行ってなければ、大学に入れなかったかもしれませんね」と前田さんは笑う。
花と緑があふれる東京に
今の前田さんの好奇心、それは都会の暮らしがもっと花と緑にあふれて、限られた一部の人だけではなく、誰もが花と緑を日々親しんでいるような未来を見ることだ。そして、その世界をつくるために、いろいろな行動を起こして、花や植物の裾野を広げようと全力を尽くしている。
「そんな世の中になれば、きっと日本の人の心はもっと豊かになるはず。私がおばあちゃんになるころには、至るところに花と緑があふれているような東京の街にしたいです」
ただし、現実はそう簡単ではない。冒頭に述べたように、フラワー業界は厳しさを増している。彼女自身も花屋の店頭に立って働いていたので、「花を買う人はこんなにも少ないんだ」と身を持って経験した。
では、一体どうすればいいのだろうか?
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