子育て社員の「同僚」に月3000円 アパレル店で“気持ち”を手当に:社員の声から(1/2 ページ)
アパレル大手のレナウンが、子育て中の社員の“同僚”に対して、手当を支給する制度を3月に始める。人手不足も問題となっているアパレルショップにおける、働きやすい職場づくりの一環。その狙いについて聞いた。
子育てをしながら働くのは大変だ。勤務時間を制限せざるを得ず、職場によっては他の人に代わりを頼むことが必要になる。仕事の調整がお互いに負担になることもあり、どのような立場でも、もやもやした気持ちを抱えている人は多いだろう。
その「もやもや」を少しでも軽減しようとする取り組みを、百貨店などにブランドショップを展開するアパレル大手のレナウンが3月1日から始める。アパレルショップの店頭において、短時間勤務などで働く育児中の販売員の“同僚”に対して、月3000円の手当を支給する制度だ。
会社から手当が出れば、仕事を頼む方も頼まれる方も働きやすくなりそうだ。なぜこのような手当支給を決めたのか。レナウンの広報担当者に聞いた。
「気をつかった」という声から
名称は「ほほえみサポーター手当」。育児休業から復帰した販売員が短時間勤務などで働いていて、その店舗にアルバイトなどの補充がない場合に、他の販売員に支給される。短時間勤務(1日6時間)のほか、「早番のみ」などシフトの固定、土日の休日取得優先などの働き方をしている販売員がいる店舗が対象となる。その販売員の子どもが小学校を卒業するまで支給される。
この制度は、社員の声から生まれた。さまざまな役職や職種、年齢、性別の社員24人による「ダイバーシティ推進委員会」の活動の中で出てきたアイデアだという。
委員会では、子育てを経験した社員から、「周囲の人に仕事を負担してもらっているから、気をつかった」という声が上がった。「現実的には、『お互いさま』ということでチームワークよく対応できているようですが、『ちょっとした手当を付けられたらいいんじゃないか』という意見が出てきました」と担当者は話す。
レナウンは百貨店などの商業施設内を中心に、アパレルショップ2393店舗を展開(2017年8月末時点)。店舗の販売員は1店舗当たり数人であるため、各自の働き方に合わせたフォローをするのが大変なときもある。「申し訳ない」と気に病む気持ちや、サポートする側の負担感を少しでも軽減できれば、と手当導入を決めた。
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