イチローが戻ってきても、素直に「ハッピー」と言えない人の論理:赤坂8丁目発 スポーツ246(3/4 ページ)
イチローが6年ぶりにシアトル・マリナーズへ復帰する。本人は「ハッピー」という言葉を口にしたが、素直に喜べない人たちがいることも忘れてはいけない。なぜその人たちはアンハッピーなのか。その理由は……。
「温度差」が生まれた背景
当時のイチローは試合後のクラブハウスに入ってきた全ての記者に1人ずつ質問をさせ、時に難クセをつけたり、あるいは嫌味も口にしたりしながら、あえて距離感のある対応を続けていた。
自分たちも戦っているのだから、記者の人たちも同じプロフェッショナルとして仕事とキッチリ向き合い、戦ってほしい――。それが若き時代のイチローの考えであった。
自分のロッカーの前にどっかりとイスに腰掛け、集まった日本人メディアに背を向けながら取材に応じるのもマリナーズに所属した初期のイチロースタイル。厳しい姿勢を見せることで、後々に気概のある番記者だけが自分のもとへやって来るようになる流れを見込み、あえて「鬼」になり切っていたのだ。
しかし残念ながら、こうした頑ななまでのイチロー独特の思考は当時の地元メディア、かつてのチームメートからやや敬遠される傾向があった。
それが証拠にイチローがマリナーズに在籍して10年目を迎えたころを境に、マンネリズム打破を求める地元メディアからは「ベテランの域に達したイチローを放出すべき」との論調が強まったこともあった。スーパースターでありながらも昔のイチローは、その強烈過ぎる個性から必ずしも地元シアトルでは万人に愛されていた存在ではなかった。
今あらためて振り返ってみると、とても悲しいことだが、彼があまりにもプロフェッショナルで次元が違い過ぎる人物だったからこそ生じてしまった「温度差」だったのかもしれない。
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