過剰な「お客様のため」を見直せば生産性は上がる:サービス領域の絞り込みが鍵(2/5 ページ)
人手不足に苦しむ飲食業界や小売業界では生産性向上はすぐに取り組むべき課題だ。そのためには、「お客様のため」という名のもとにはびこる不要な業務を削減することが必要だ。
店長の負担を減らす
1点目は店舗運営の要となる店長の負担を減らすことだ。
正社員は店長のみで残りの従業員はバイトやパートというケースも多い。ときにはバイトの穴埋めとして店長が働かないといけないこともある。そうなると店長がやるべき仕事に集中できない。
「店長がなんでも自分でやってしまうのが原因です。自分しかできない仕事がたくさんあると思い込んでいます。仕事のたな卸しをすることが必要でしょう」
例えば、店長が「開店準備と閉店準備を自分がしないといけない」と思い込むと、店舗にいる時間が長くなってしまう。具体的には「開店前に行う従業員の身だしなみチェック」と「閉店後に行うレジの集金」がネックだったとしよう。そこで、店長が身だしなみのチェックリストを作り、開店準備を行う従業員がお互いに確認しあえるようにする。そうすれば店長は開店準備時に店舗にいる必要はなくなり、労働時間の短縮につながる。
庄司氏は別の解決策として、短時間で働く従業員を募集することを挙げる。具体的には勤務時間を8時間で求人広告をだすのではなく、2時間や4時間でもOKとする方法だ。従業員の数が増えるので管理コストはかかるが、家庭の事情などで働くことを諦めていた高スキル人材を雇える可能性が高まるという。実際、庄司氏の会社では高いスキルを持つが子育てのために1日4時間だけしか働けない女性を雇用して成果をあげているという。飲食店ならば調理の高いスキルを持つ人材に2時間だけ仕込み作業を任せることが考えられる。
関連記事
- セブンの「時差通勤制度」に見る、働き方改革の“限界”
セブン&アイ・ホールディングスが時差通勤制度を導入する。評価すべき取り組みだが、一方で、一律の時間枠で社員を拘束する点においては、何も変わっていないと解釈することもできる。同社の取り組みが現実的なものであるが故に、多様な働き方を実現することの難しさが浮き彫りになっている。 - 厚労省が「裁量労働制データ捏造」に走った根本的な理由
厚生労働省の「データ捏造(ねつぞう)」で安倍政権が炎上している。国民の生命にダイレクトに関わってくる問題なのに、なぜインチキデータが提出されたのか。厚労省が同じような問題を繰り返す背景に、何があるのかというと……。 - 残業が多い業種、1位は「運輸・郵便業」
日本企業の残業時間の現状は?――パーソル総合研究所調べ。 - 2018年の「働きがいのある企業ランキング」、1位は?
社員や元社員が選ぶ「働きがいのある企業」とは?――Vorkers調べ。 - ペーパーレスによる業務効率化は「神話」なのか
多くの企業で「ペーパーレス化」や「文書の電子保存」が推進されていますが、課題も多くあります。業務のペーパーレス化を成功させるポイントを解説します。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.