無口な社員も熱く語る “全員参加”社内イベントのつくり方:あの職場が“楽しい”理由(3/4 ページ)
社内イベントといえば、社員のコミュニケーションを促進する狙いがあるが、それだけではない。会社や仕事について理解を深め、モチベーション向上につなげることが重要だ。社内イベントや社内報などのプロデュース会社に、成功のポイントや事例について聞いた。
「巻き込み」が成功のポイント
この会社の事例のように、社内イベントを記憶に残る、意義深いものにするためにはどうすればいいのだろうか。増田さんは「“巻き込み”が成功のポイント」と話す。社内イベントをプロデュースする会社がサポートしても、その会社の社員が主体的に参加しなければ成功は遠い。
「プロジェクト担当者は現場を尊重する気持ちもあるので、イベントに巻き込むことに理解を得られず、尻込みしてしまうこともあります。そんなときに、担当者の隣で『泥臭くみんなを巻き込んでいくことが大事』と言い続ける。それが私たちの役割なんです」(増田さん)
では、どのように巻き込むのか。増田さんと同じく、現場でイベントをサポートする前田章悟さんは「メールで1回呼び掛けるだけでは、多くの社員の協力を得るのは難しい」と指摘する。
「元気な若手社員を狙って声掛けをするなど、地道な活動が必要です。細かい調整をしっかりしていけば、活動を軌道に乗せることができます」(前田さん)
印刷会社の事例では、社員へのインタビューを重ねたり、事前に毎日メールを配信したりして、時間をかけて徐々に機運を高める活動を実施していた。当日に盛り上げるためには、事前の根回しが必要だ。
一方、多くの人を巻き込むためには、目的や思いをはっきりさせておくことが何よりも欠かせない。「上から指示されて、イベントをやること自体が目的になってしまうと、内容がなかなか決まりません。『何かをやろう』とするのではなく、『なぜやるのか』『どんな会社でありたいか』に立ち返って考えていく必要があります」と前田さんは話す。
イベントに対して、経営陣と社員との間に意識のギャップがあることも多い。目的や思いがしっかりと固まっていれば、そのギャップも埋まってくる。外部の会社にサポートを依頼しても、その部分を教えてもらうことはできない。プロジェクトが動き出す前に、議論を深めておく必要がありそうだ。
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