老舗メーカーが“ポップス”社歌をつくったワケ:あのアーティストが歌いそう(3/4 ページ)
「社歌」を制作する企業が増えている。社員の思いを集めた、おしゃれなポップス調の社歌を作った老舗メーカー、キミカに、その狙いや制作のプロセスについて聞いた。
さわやかなメロディー、かっこいい歌に
作曲は制作会社のプロに頼んだが、曲調は自ら決めた。それは、人気アーティストの「いきものがかり」と「長渕剛」のような雰囲気の曲。単なる好みではない。13年に日刊工業新聞社から発売された書籍『ベスト・イン・ザ・ワールド ―アルギン酸メーカー・キミカの挑戦―』の出版記念パーティーの際、バックミュージックとして流れたのが、この2組の曲だった。会社にとって、愛着のある曲調だ。
試行錯誤した歌詞と、リクエストした曲調を反映した2曲が出来上がった。「外部の人に聞いてもらうと、『意外だ』と言われます。『アルギン酸』という言葉すら出てきませんから。いわゆる“社歌”のイメージを持っていると、驚かれます」
記者も試聴させてもらった。社歌の「今、帆をあげて」は、さわやかなメロディーが印象的な曲。「勇気」「夢」「心ひとつに」といったキーワードが並ぶ。一方、スピリットソング「ベスト・イン・ザ・ワールド」は、渋い感じ。「昨日より良いものを」という現場の頑張りと品質の追求を表現している。両曲ともかっこよく、アーティストが歌っていそうなイメージだ。
笠原社長はこの2曲に「みんなで同じ方向を目指して頑張っていきたい」という思いを込める。6月に発表会を開いて披露するほか、カラオケにも配信する予定。気軽に歌えるようにしたいという。「社歌を作っても、歌わない歌では意味がない。みんなが集まったときに楽しく歌える歌にしていければ」
社員が会社の歴史や自らの仕事を振り返り、それを言葉で表現した。その結晶が出来上がった。
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