若手には新鮮 「社歌」はなぜ盛り上がっているのか:専門家が解説(3/3 ページ)
日本の企業文化として根付いてきた「社歌」。制作の狙いやプロセスは大きく変わっている。多くの社歌を取材してきたジャーナリストの弓狩匡純氏に、最新トレンドや効果的な取り組み方について聞いた。
アレンジで驚くほどかっこよく
――それでも、歌詞を公募して曲を作って……と考えると、難しい、ハードルが高いと感じる人はまだ多そうです。
もともとある社歌を今風にアレンジする方法もあります。江崎グリコのやり方は参考になります。もともとあった古い社歌の歌詞とメロディーを変えずに、アレンジだけ変えたのです。古臭い歌でも、アレンジ次第で驚くほどかっこいい歌になります。そのアレンジについては一般公募したのですが、応募対象を音楽系の大学や専門学校の学生に絞りました。社歌をアレンジするとともに、主要ユーザーである若者を応援するメッセージを発信したのです。
老舗の企業には、古い社歌が埋もれていたりします。実は有名な人が歌詞を手掛けていることもあるのに、もったいない。地域性があふれる歌詞などもあります。そのような“お宝”が現代風にアレンジされて表に出てくると、面白いですよね。
まずは会社をよく理解すること、それにちょっとした工夫を加えれば、その会社らしい、親しみのある社歌を作ることができるのです。
――今後、社歌のトレンドはどう変わっていくでしょうか。
社歌の「国際化」が進んでいくのではないかと思っています。例えば、ヤクルト本社は12年、社歌の英語版を作りました。シンガポール法人から「ヤクルトレディーを表彰する式典で使う歌がほしい」といった話が出てきたからです。NTTデータの事例もそうですが、グローバルの社員をまとめるのに社歌が使われています。特にアジアでは、日本の社歌文化は受け入れられやすい傾向があるようです。
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