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「指混入」だけじゃない 幸楽苑が日高屋に負けた理由:経営体質に差(4/4 ページ)
ラーメンへの異物混入事件でブランドイメージを大きく損なった幸楽苑。この事件が現在に至るまでの不振の原因として指摘される。しかし、本質的な敗因は別のところにもあった。
数字で見る日高屋の強さ
日高屋の強さは数字にも表れている。「効率的な経営ができているか」を表す販売管理費率という指標がある。売上高に対する販売費及び一般管理費(人件費や広告宣伝費など)の割合を示し、低いほうが望ましい。幸楽苑HDが72.6%(17年3月期)なのに対し、ハイディ日高は61.3%(18年2月期)と11.3%も低い。
もう1つ、日高屋の強さを示す数字がある。それは、売上高営業利益率だ。18年2月期においては11.5%と、主要外食産業のなかではかなり高い水準だ。上場している90社弱の外食企業で10%以上の営業利益率なのは1割に満たないという(リサーチ会社のシェアードリサーチ調べ)。
営業利益は企業が本業で稼いだ利益を表す。一般的な企業は原材料を仕入れて商品を販売する。売上高から売上原価(原材料の仕入れにかかった費用)と、人件費や光熱費などの費用を差し引くと営業利益となる。つまり、日高屋は本業で稼ぐ力が強いということだ。幸楽苑HDの営業利益率は0.3%(17年3月期)であり、両社の差は歴然としている。
日高屋は不断の経営努力とドミナント戦略で、稼げる経営体質を実現している。一方、幸楽苑は強い経営体質をつくれなかったため日高屋に“負けた”のである。
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