特集
「指混入」だけじゃない 幸楽苑が日高屋に負けた理由:経営体質に差(3/4 ページ)
ラーメンへの異物混入事件でブランドイメージを大きく損なった幸楽苑。この事件が現在に至るまでの不振の原因として指摘される。しかし、本質的な敗因は別のところにもあった。
日高屋が好調な理由
日高屋の歴史は、ハイデイ日高の神田正会長が73年に中華料理「来々軒」をさいたま市大宮区に創業したことから始まる。さいたま市や都心部などに積極出店を繰り返し、02年に総店舗数が100店舗を突破。現在ではグループ全体で413店にまで増えた(18年2月期時点)。
同社の決算資料によると、直営店舗のうち95%が駅前繁華街に立地している。1都5県の駅前一等地に集中出店するドミナント戦略を採用しており、首都圏以外にも幅広く展開する幸楽苑とは対照的だ。ドミナント戦略はセブン-イレブンが採用していることでも知られる。
日高屋は最安値のラーメンが「中華そば」(390円)で、価格の面で幸楽苑に勝っている。中華そば、ギョーザ、生ビールを920円で提供しており、今流行のちょい飲み需要にもしっかりと応えている。
メニュー数は幸楽苑と比べて多い。日高屋は「ラーメン」「定食」「居酒屋」という3つの業態を併せ持つ。飲食店の経営コンサルティングを手掛けるスリーウェルマネジメントの三ツ井創太郎社長は「通常、メニューが増えると店舗のオペレーションが煩雑になる。しかし、日高屋はお客をあまり待たせることなく提供できている」と分析する。
関連記事
- ももクロも愛する「山田うどん」が埼玉の県民食になった理由
“ダウドン”“ヤマウ”の名称で愛される「山田うどん」。埼玉の県民食としての地位を確立しただけでなく、人気アイドルグループにも愛される理由とは? - 過熱する「チーズタッカルビ」ブーム いつまで続く?
韓国料理をベースにしたフュージョン料理「チーズタッカルビ」がヒットしている――。今回は、チーズタッカルビなる料理が日本の外食で広がっている現況と、新大久保コリアン街を再生させて、日本全国に普及した過程を解説していきたい。 - 後発の「ゆで太郎」がそば業界首位になった理由
「挽きたて」「打ちたて」「茹でたて」のそばを提供して急激に店舗数を増やしているのがゆで太郎だ。今回は、後発ながら富士そばや小諸そばを追い抜く原動力となった同社のこだわりと戦略を紹介する。 - 業績好調! 日高屋の「ちょい飲み」が成功した理由
ラーメンチェーン「熱烈中華食堂 日高屋」の業績が好調だ。特に近年は「ちょい飲み」ユーザーに支持されており、高収益の体質につながっている。 - なぜ「ココイチ」の味は“普通”なのに、トップを独走しているのか
「カレーハウスCoCo壱番屋」(ココイチ)を運営している壱番屋の業績が好調である。市場をみると、ココイチの店舗数は1000店を超えているのに、2位のゴーゴーカレーは80店ほど。なぜココイチはここまで「独走」しているのか。同社の取締役に聞いたところ……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.