160円でJRを“大回り乗車” 新緑と彩り駅弁、唐揚げそばを味わう12時間:杉山淳一の「週刊鉄道経済」GW特別編(6/6 ページ)
もうすぐ大型連休。鉄道に乗ることを楽しむ「乗り鉄スタイル」のお手軽な旅をご紹介。JR運賃の特例を使って、渋谷から160円で“大回り乗車”してみると……。
我孫子の唐揚げそば
小山は東北本線の駅だから、ここから上野に出て、山手線で目黒に向かって問題なし。だけど、もうちょっと乗っていたい。水戸線に乗って友部へ。そこから常磐線に乗り換える。このあたりで察してくれた読者もいるかもしれない。そう、いったん我孫子で降りて、弥生軒の唐揚げそばだ。大きな唐揚げが2個入って540円。大ぶりながら柔らかい鶏肉をもぐもぐ。そばをすすって腹いっぱい。よし、今日の旅、ミッション終了だ。
日暮里駅で山手線に乗り換えて、目黒駅へ。自動改札機に切符を通したら閉じてしまった。これは不自然に長時間かかったときの動作だ。切符の券面は「07:07」と入場時間が書いてある。ただいま午後7時25分。3.1キロを12時間かけてきたわけだ。ちなみに渋谷から目黒までは、徒歩でも小一時間という距離である。確かに怪しい。
でもこちらはルールに従っているから問題なし。窓口に行き「大回りしました」とスマートフォンの画面を見せる。あらかじめPCで路線図を取り込んで、PowerPointでルート図を作り、Dropboxに投げ込んでおいた。駅員さん、「あー、はいはい? おおっ」と、驚いたのか感心したのかあきれたのか。笑顔で通してくれた。
杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)
乗り鉄。書き鉄。1967年東京都生まれ。年齢=鉄道趣味歴。信州大学経済学部卒。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。出版社アスキーにてPC雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年よりフリーライター。IT・ゲーム系ライターを経て、現在は鉄道分野で活動。鉄旅オブザイヤー選考委員。著書に『(ゲームソフト)A列車で行こうシリーズ公式ガイドブック(KADOKAWA)』『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。(幻冬舎)』『列車ダイヤから鉄道を楽しむ方法(河出書房新社)』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」。
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