ぼくがダメ社員を脱却し、名プロデューサーになれた理由:人生やらなくていいリスト(1/3 ページ)
筆者の前職はレコード会社勤務のアーティストプロデューサー。絢香、Superfly、平井堅、CHEMISTRY、河口恭吾などのアーティストを手掛け、CDの累計売り上げ2000万枚という実績を残すことができた。けれども30歳になるまではまったくのダメ社員だったという……。
編集部からのお知らせ:
本記事は、書籍『人生やらなくていいリスト』(著・四角大輔、講談社+α文庫)の中から一部抜粋し、転載したものです。記事内の写真は四角氏のInstagramから許諾を得て掲載しています。
「なんでもデキる人」にならなくちゃいけない。
「誰かに勝つため」「期待に応えるため」に、ただひたすら頑張らないといけない。
そう思い込まされて心を殺し、「やるべき」と言われることを、すべてやろうとしているうちに、あなたは生きること自体が苦しくなっていないだろうか?
でも、ぼくは言いたい。仕事や人生で「あなたの理想」を手にするためには、「誰か」と比較しなくていい、「すべて」をやらなくてもいいのだと。
いまぼくは、ニュージーランドの、原生林に囲まれた湖のほとりで半自給自足の“森の生活”を営みながら、年の数カ月間は世界中で“移動生活”を送っている。「苦手」を捨てて「やりたいこと」に集中する。「好き」を極め、シンプルに生きる。その結果、場所に縛られない自由な働き方を構築することができた。
5社の役員を兼任し、起業家やアーティスト育成、大学非常勤講師、人生デザイン術を学べるオンラインスクール学長など、複数の分野で活動。アウトドア、旅、オーガニック、執筆といった「好き」を仕事にする、自在なライフスタイルを創っている。
そんなぼくの前職は、レコード会社勤務のアーティストプロデューサー。当時、独創的と評されたプロデュース術も、生き方と同じシンプルな引き算スタイル。絢香、Superfly、平井堅、CHEMISTRY、河口恭吾など、十数組の才能あるアーティストたちのおかげで、配信を含めると10回を超えるミリオンヒット、CDの累計売り上げ2000万枚という実績を残すことができた。
でも、30歳になるまでのぼくは、まったくのダメ社員。最初の2年はいじめに遭い、落ちこぼれの営業マン。その後も、会社評価はしばらく最低ランク。毎朝、鏡の前で、笑顔と挨拶の練習をしなければ会社に行けない。
「なぜ、うまくいかないんだろう。自分はダメなヤツだ」
そうやっていつも、自己嫌悪に陥り、ストレスで体調を崩していた。
悩み苦しみ、心が完全に折れる寸前、ふと気が付いたのだ。先輩やオトナたちから「やるべき。これが常識」と言われるまま、やみくもに行動しても、ぼく自身がしっくりきていなければ、自分にとって理想の人生を創ることはできない、ということに。
世間で「あたり前」や「社会ルール」とされることを妄信して、何の創意工夫もせず、ただがむしゃらに努力するだけでは、人は決して幸せになれない。「苦手を克服せよ。あいつに負けるな」と言われ、そこに膨大な時間と大きな労力を注いでも、良い成果に結び付くことはない。
ぼくが、ダメ社員を脱却し、プロデューサーとして記録的なヒットを何度も経験できたり、学生時代からの夢、ニュージーランド移住を実現できたり、自身の著書でベストセラーを出せたりした理由。そこには特別な方法も、複雑な道のりもなかった。ただただ愚直になり、目の前の「自分にできること」に集中しただけ。
「普通はみんなやるから」と強いられても、心から納得できなければ、やらなくていい。一般的に「できなきゃダメ」と言われていることも、違和感があれば、できなくてもいい。「普通」や「一般的」なんてのは、この世に存在しない、実体のない幻想。従うべきは、他人や組織が勝手な都合でつくり出した「根拠のない常識」ではなく、あなた自身の内側から発せられる「本当の心の声」。
ぼくが30歳を過ぎたころ、それら外部ノイズに負けず、自身の感覚を信じ、できることだけに集中したら突然、仕事も人生もうまくいくようになった。できないこと、しっくりこないことは、いったんわきに置いてみよう。勇気を出して自分を信じ、自身にできることだけに賭けてみよう。
断言しよう、それが理想の生き方を手にする唯一の方法だ。
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