「この話なら誰にも負けない」を探そう:人生やらなくていいリスト(2/2 ページ)
大勢の人たちの前で何かについて話すということを苦手にしている人は多いだろう。そんな人でも大好きな物事の話ならきっとできるはず。「この話なら誰にも負けない」というものを探そう。
当時のぼくは、釣りに関してなら語れることに、あるとき気付く。人に会ったら臆せず、軽く釣りの話をしてみる。同じ内容の話を何人かにしてみる。すると「人はこのポイントに興味を持つ」とか、「この順番で話すと最後まで聞いてくれる」などが分かってくる。
この段階である重要なことに気付く。釣りに興味のない人は、そんなに長い時間、集中して話は聞いてくれないことに。次に心掛けるべきは「できるだけ短く、シンプルに話すこと」。長くて10分、できれば5分以内におさめるべくトレーニング、つまり人に話す練習を続けてみる。さらに3分、1分バージョンを作るべくやってみるといい。何度もトライを重ね、失敗を繰り返していると、核心部をもらさず網羅できている、コンパクトな「鉄板トーク」が完成するようになる。こうなれば、しめたもの。
次にやったのは、自分の周りで話がうまい人を探し出すこと。その人の技術を盗み、鉄板トークをさらにバージョンアップさせるのだ。例えば、話を聞いている途中でも「これは使える!」と思う表現や言い回しがあったら、その場で「いいですか?」と断ってすぐにメモる。言いづらければ、トイレに行った隙にメモしたり、急ぎのメール返信の許可を得て、ケータイで自分宛てにメールをしたこともある。
ぼく自身、話し方セミナーに参加したり、話し方本も読んだ。けれども、身近な人の言葉のほうが、自分にとって断然「生きた」「すぐに使える」言葉にあふれているものなのだ。タイムラグが生まれざるを得ない書籍や講演と違って、周辺にいる話がうまい人が「実際に使っている」言葉は、リアルタイムで最新だし、自分にとっても「実際に使える」ことが多い。話し方やプレゼンのコツを知りたかったら、あなたのすぐ横にいる「うまい人」から学ぶことをすすめたい。
いつでも、いちばんの学びの場は、書物や教室よりも、現場だ。ぼくにとっての釣りのような、あなただけの「好き」「ワクワク」「心地いい」を思い出そう。そのヒントは、これまでの人生に必ずあるから。
そして、それを情熱的かつ簡潔に話し、興味のない人を惹きつけられたらもう大丈夫。後は、身に付けたその「型」を他のテーマにあてはめるだけでいいのだ。
著者プロフィール
四角大輔(よすみ だいすけ)
1970年大阪生まれ。モバイルテクノロジーを活用することで場所の制約を受けないワークスタイルを構築し、ニュージーランドの湖で半自給自足の”森の生活”を、年の数ヶ月は世界中で”移動生活”を送りながら様々なプロジェクトを手がける。
Instagram、多数の連載、公式メディア〈4dsk.co〉を通して独自のライフスタイルシフト論を発信。アーティスト育成と大自然への冒険をライフワークとしながら、複数の企業の役員やアドバイザー、大学非常勤講師、会員制コミュニティ『Lifestyle Design Camp』学長を務める。著書に、12万部を突破し若者のバイブルともなっている、『自由であり続けるために 20代で捨てるべき50のこと』や、『モバイルボヘミアン 旅するように働き、生きるには』、『The Journey 自分の生き方をつくる原体験の旅』など。レコード会社プロデューサー時代に配信を含めて10度のミリオンヒット、CD売上2000万枚を記録。
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