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神社専門のクラウドファンディングサイト始動:ターゲットの狭さには訳があった(2/2 ページ)
神社専門のクラウドファンディングサイトが登場した。神社が全国から支援者を募れる仕組み。IT化が進んでいない神社業界の慣習を熟知した上で作られている。
IT導入には伝統の尊重を
では、なぜ神社自身が支援者を募る仕組みにしなかったのか。秀島さんによると、実は神社は自身でお札などを通販で授与することに昔から抵抗感があり、あまり普及していなかった。代わりに、遠隔地の支援者にもお札を授与できたのが崇敬会だった。この形をとれば、業界のマナーを守りつつネット上でお札が授与できるというわけだ。
ただ、既に有名神社の崇敬会のサイトはいくつもある。秀島さんは「神社業界はネット対応があまり進んでおらず、サイト上でもお札の授与は郵便振替や銀行振り込みのみという崇敬会が多い」と話す。加えて、大きくない神社では崇敬会のサイトを自力で運営することも難しい。「すうけい」で利用者は複数の崇敬会にまとめて入会することができ、ネット決済も可能。神社側にとっても、運営側が無料で取材して紹介ページを作ってくれる利点がある。神社が払う料金は手数料のみだ。
幼馴染の家の神社にあまりにも参拝者が少ないのを見て、神社業界の支援を思い立った秀島さん。慣習やマナーの多いこの業界に受け入れられるため1年間勉強して準備した。伝統的な業界にITを導入するためには、合理性を振りかざすだけでなくその伝統を尊重したうえで知恵を絞ることが必要なのかもしれない。
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