売れない営業マンが知るべき、2つのフレームワーク:営業マンの成長(3/6 ページ)
精一杯がんばっているのに営業成果がなかなか上がらない――。ついついこんな言葉を口にしたことがある人も多いのでは。仕事をしていると、なぜこのような不満が出てくるのか。その理由は……。
売れない本質的な課題は何か?
さて、冒頭の営業マンの言葉を思い出してほしい。
「製品が高すぎる」「製品に付加価値がない」という言葉は、営業マンのどういうマインドセットから出るのだろうか?
実は、この2つの言葉は、どちらも1つの言葉に言い換えることができるのだが、読者の皆さんは何だと思われるだろうか?
「B、C(健全)ゾーンのプロダクトでは売れません。A(ラッキー)ゾーンのプロダクトをつくってください」
いかがだろうか? いささか強引に思われるかもしれないが、ハッとした方も多いのではないだろうか? もともと、資本主義、競争社会の市場ではあまりお目にかかれない、かつ営業マンもあまり必要とされない “A(ラッキー)ゾーン”のプロダクトでなければ私は売れないと、暗に主張しているように受け取れる。
そして、読者の皆さんはもうお気付きであろう。自分が売れないことを正当化したいために発している言葉が、いかに的を外しているかが。B、C(健全)ゾーンのプロダクトを販売している営業マンが最初に考えるべきは「自社製品の何が問題か?」ではなく、「自分はどういうマインドセットを持つべきか?」なのである。
このゾーンの営業マンが持つべきでないマインドセットは「私が悪いのでなく、悪いのはプロダクトだ」であり、持つべき好ましいマインドセットは、「当事者意識を持ち、常に自分の置かれた立場を客観視し、論理的に考えた行動を選択する覚悟」である。
非常に難易度が高く、人間離れしたことだと思われるかもしれない。しかし、筆者は、決して不可能なことではないと思っている。実際、筆者が支援・指導した人たちが、少しずつこの好ましいマインドセットに変わり、実績も確実に良くなっていったのをたくさん見てきている。
この部分のさらなる深堀りは、ここでは割愛するが、興味のある方は、拙著『成長マインドセット』(クロスメディア・パブリッシング)に詳しく書いているのでそちらをお読みいただければご理解いただけると思う。
では、この好ましいマインドセットの意義を理解していただいたところで、具体的にはどのような行動をしていけばよいかを考えてみよう。
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