売れない営業マンが知るべき、2つのフレームワーク:営業マンの成長(4/6 ページ)
精一杯がんばっているのに営業成果がなかなか上がらない――。ついついこんな言葉を口にしたことがある人も多いのでは。仕事をしていると、なぜこのような不満が出てくるのか。その理由は……。
営業マンの成長とは
ここで、読者の皆さんに次の2つの質問をしたい。
(1)「営業マンとして、成長するためには何が必要か?」
(2)「成長した営業マンとはどんな状態か?」
この質問に対して、一般的にはこのような答えが多いのではないだろうか。
(1)「営業スキルの向上」「ネットワークの拡大」「営業プロセス管理と実行」など。
(2)「インセンティブ収入の増大」「有力顧客が多い」「取締役営業本部長」など。
皆さんの答えはどうだろうか? どれも間違いではないが、筆者は断片的、部分的な印象を受ける。この2つの問いに対して、「成長」を全体的、体系的に理解するために、今まで私がセミナーや研修で話してきた「アイスバーグ理論」が参考になると思うので、簡単に説明してみよう。
下の図を見ていただきたい。ものごとの成果や結果というのは、氷山の一角のように見えている、ごく一部にすぎない。水面下には、目に見えない3層の要因が存在する。一般的に重視されがちな「スキル」だけでなく、その下層には「ふるまい・習慣・行動」、さらにその下には「意識・想い・人生哲学」が存在する。これらはどれが欠けても水面上の成果や結果がしっかりと出ることはない。
先ほど話した、営業マンのマインドセットの1つ「当事者意識を持ち、常に自分の置かれた立場を客観視し、論理的に考えた行動を選択する覚悟」は、このアイスバーグでいうところの下2層に位置するものである。
また、顧客を売るだけの対象として見ていないか、自社プロダクトを本当に価値あるものだと自信を持っているか、日々の習慣や振る舞いは好ましいものかなど、下2層は、営業マンの存在意義そのものを問いかけている。
しかしながら、多くの営業マンはどうしても短期的な売上予算の達成に集中するので、すぐに効果が出せそうなスキルやテクニックに関心が向いてしまう。もちろん、今日明日の営業実績は大変重要であるが、目先の結果にとらわれすぎて日々を送ると、特に下層の2つを大きくすることを怠り、アイスバーグは大きくならずに、先々の結果も先細りししまう。
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