米朝会談がシンガポールにとって「大迷惑」な理由:世界を読み解くニュース・サロン(3/4 ページ)
トランプ米大統領が、6月12日に予定されていた米朝会談を中止すると一方的に発表。その後、予定通り開催する可能性にも言及し、混乱が続いている。誰よりも迷惑を被っているのが、開催地のシンガポールだ。関係者に話を聞いてみると……
ホテルはすでに満室だった
実は、米朝会談の開催が決定した時点で、開催候補となった2つのホテルの部屋は既に満室だと報じられていた。だが、歴史的な会談のために、シンガポール当局は宿泊予定客から部屋を「買い戻す」よう動いた。しかし、突如としてトランプが会談中止を発表したことで、また旅行会社に部屋を戻す形になり、再び部屋の予約ができるようになった。すると、トランプが会談をやるかも、とまた言い出したり、日程が後にずれるかも、などとコメントしたりしたことで、混乱は続いている。当然だが、シンガポール当局にしたら、「もういいかげんにしてくれ」というのが本音だろう。
話を聞いたシンガポール人関係者によれば、会場は「シャングリラ・ホテルの可能性が高い」。というのも、米国の大統領向けのセキュリティの決まりを満たすホテルの部屋は、これまでの米大統領滞在を鑑みると、現時点ではシャングリラ・ホテルのスイートしかない、ということらしい。会談の会場は別としても、少なくともトランプが宿泊するならシャングリラ・ホテルということになる。
別のシンガポール人の友人にも話を聞いてみたが、どうも「当局はシャングリラ・ホテルの全室を予約して、先に予約していた客はすでに別のホテルに移動するよう手配している」という。ただ、ここまでやって結局中止になったら、誰がその経費を払うのだろうか。この友人は「おそらく、シンガポールではないか、と多くが皮肉っぽく言っている」という。事実は分からないが、もしそうなったらひどい話である。
ちなみに、筆者は以前、シンガポールでシャングリラ・ホテルのすぐそばに住んでいたことがある。このホテルはしょっちゅう世界の首脳が集まる会議を行っており、当局のセキュリティ対策なども慣れたもので、警備しやすい立地ということもあって頻繁に道を封鎖していた。コントロールしやすいという意味でも、米朝会談の会場としては申し分ないだろう。
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