JR西日本「山陰キャンペーン」で知る、JRグループの課題:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(3/6 ページ)
JR西日本は近畿圏の強い輸送需要を抱える半面、沿線人口が減り赤字傾向の山陰地方のてこ入れが課題となっている。7月から始まる「山陰デスティネーションキャンペーン」が大きなチャンスだ。
予約制食事サービスがあり、下り列車は、弁当「天地御膳世明」(税込2500円)、「大江ノ郷スイーツセット」(同2000円)、上り列車は「山陰の酒と肴(さかな)」(同2000円)、「松江の和菓子詰め合わせ」(同2000円)を用意する。ただし、メニューごとに予約申込先が異なるところに留意したい。乗車券、座席指定券は1カ月前から全国のみどりの窓口で買えるけれども、食事メニューは別だ。できればJR四国の観光列車「伊予灘ものがたり」のように、食事メニューもみどりの窓口の扱いとし、ワンストップでオーダーさせてほしかった。
4つ目は「水木しげるロード・鬼太郎列車リニューアル」だ。鳥取県の境港は漫画家の水木しげる氏の出身地。境港には水木しげる記念館がある。境港から記念館に至る道が水木しげるロードで、歩道には妖怪たちのブロンズ像が並び、街灯は目玉おやじ。7月から水木しげるロードはリニューアルして、車道の一方通行化により歩道を大幅拡張するほか、夜間の照明を充実させる。
鬼太郎列車は、米子駅と境港駅を結ぶJR境線を走る列車たちだ。水木しげるロードに呼応して、車体や客室に『ゲゲゲの鬼太郎』のキャラクターたちを描いている。このデザインを順次一新するという。境線は各駅に妖怪名を付けていることでも有名だ。ちなみに米子空港駅は「べとべとさん駅」で、米子空港ターミナルから徒歩5分の便利な立地だ。飛行機で山陰へ向かうならオススメ。
山陰DCはこのほかに7つのテーマ「おもむき」「うつろい」「ときめき」「えにし」「いざない」「あじわい」「たしなみ」を設定。合計164の観光ポイントを紹介している。盛りだくさんで全てを書き切れないので、旅行をご検討の方は公式サイトをご覧いただきたい。
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