就活をやめてエストニアへ そこで私が確信した日本と世界のキャリア観の決定的な違い:今までの常識を覆す(3/6 ページ)
普通なら就職活動真っ只中の期間である大学3年生の1月から大学4年生の6月までの約半年、就活を中断してエストニアに留学中の筑波大学4年生、齋藤侑里子さん。そんな彼女が現地で感じた、日本の就活への違和感、グローバルスタンダードなキャリアの築き方とは――。
世界最先端のデジタル国家へ留学、待っていたのは刺激的な日常
このまま日本で就活を続けていたら、本当の自分を見失ってしまう――。どうしても拭えない違和感が恐怖へと変わる前に、齋藤さんは就活に区切りをつけ、エストニアへの留学を決意。
齋藤さんがエストニアを知ったのは、大学3年の夏。ITスタートアップを支援する企業でインターンをしていた時に、ブロックチェーンに関する記事で偶然知りました。世界最先端のデジタル国家として可能性を秘めているこの国に、「行くなら今しかない」と直感したそうです。
齋藤さんにとって、この留学の目的は3つ。
1. 多様でユニークな生き方に出会い、もっと柔軟で広い視野を得る
2. 日本ではできない経験、エストニアの人脈を得て、自分の可能性を広げる
3. 長期目標を立て、内省と行動を行うサイクルを確立する
そのときにはもう、「私はただ就活から逃げようとしているんじゃないか」というネガティブな思い、「だけど、このまま就活を続けないと不利になるんじゃないか」といった打算的な迷いは、ありませんでした。
「むしろ清々しく、オフィス街を就活生としてスーツで駆け回るより、これから何倍も広い世界を見られるようになることへの希望で胸いっぱいでした。これは逃避ではない、『じぶん修行』。就活では得られない経験や人脈を手に入れ、それを社会に還元できる人に成長して帰ってくるんだ」
そう決意し、第1志望の会社から不採用通知を受け取った2週間後には、エストニアに向けて飛び立ちました。
エストニアといえば、世界で最も電子政府化が進み、あの「Skype」も生んだ国。教育はそれを支える重要なファクターで、そのレベルは世界でもトップレベル。国境の枠を超え、グローバルのデジタル世界で活躍できる人材を育成するべく、語学はもちろん、リーダーシップやアントレプレナーシップ、クリエイティブシンキングの教育も盛んです。
エストニア全土の大学横断で開催される起業プログラム「TTU Mektory start-up programs」のレクチャーの1コマ。起業家兼投資家の女性が講師として招かれ、学生に直接レクチャーを行う
齋藤さんはタリン大学に通うかたわら、起業家たちが集まるミートアップや勉強会によく足を運んでいます。「彼らはとてもオープンで、私のようなただの学生、留学生であっても、熱意を伝えれば、CEOや投資家の人たちがサクッと会ってくれるんです!」
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