就活をやめてエストニアへ そこで私が確信した日本と世界のキャリア観の決定的な違い:今までの常識を覆す(6/6 ページ)
普通なら就職活動真っ只中の期間である大学3年生の1月から大学4年生の6月までの約半年、就活を中断してエストニアに留学中の筑波大学4年生、齋藤侑里子さん。そんな彼女が現地で感じた、日本の就活への違和感、グローバルスタンダードなキャリアの築き方とは――。
日本人に知ってほしい、グローバルスタンダードな「キャリアデザイン」
そうした活動や人々との交流を経て、改めて今、日本の就活・キャリア観、それと海外とのズレをどう感じているか、齋藤さんに言葉にしてもらいました。
「日本では新卒の学生は、むしろ何にも染まっていない『真っ白なキャンバス』のような状態であることが望まれるように思えます。一方、エストニアをはじめ海外では、『自分で自分の人生をデザインし、そうすれば今自分がすべきことが暗示される』。裏を返せば、『自分が今熱量のあることを突き詰めていくと、自然とキャリアが形成されている』という言い方でも、正しいかもしれません」
齋藤さんはそんな生き方、働き方を「じぶんデザイン」という言葉で表現します。
「そんなふうに『じぶんデザイン』を行うと、今自分がやっていることに、仕事以上の、人生という広い視野で、新しい意味合いが生まれるなあと、実感しています。『今』がとても幸せに感じられるようになったし、有言実行できている自分に少し自信が持てるようになったんです」
そんな齋藤さんは、日本に帰国した後にやりたいことがたくさんあるそう。帰国した翌月にはすでに、全国で暮らす高校の同級生たちと一緒に、母校で「大学生と高校生のホンネのおはなし会」を開催することが決まっています。
そんな齋藤さんはこれからどうしていくのか。元々は留学期間を終えたら日本に帰国する予定だったものの、自身が企画したミートアップに来ていたFinTechスタートアップからヘッドハンティングを受けたそう。「日本とエストニアでのインターン経験、そして今回開催したイベントのオーガナイズ力を高く評価してくれました」と齋藤さん。5月末にはすでに採用面接を受け、彼女の進路に新たな選択肢が生まれています。
さらに、ミートアップでできたつながりを存続していけるよう、オンラインコミュニティーをすでに作成。人と向き合いながら、誰かや何かの可能性を広げていくコミュニティーづくりへの思いは、これからも変わりません。「とはいえ、まずは卒業論文を書かないと、卒業できないんですけどね(苦笑)」
最後に、日本の就活生、ビジネスパーソンに今伝えたいことを語ってくれました。
「日本の就活は先ほどの『じぶんデザイン』をどこか妨げてしまうような……。就活を経て、社会人になったとしても、『今自分がやっていることって、あの時コピペした志望動機でしか語れないかも』と思い悩む場面が出てきそう。自己分析をしていたようで、実際はただどこかから引用してきた言葉で自分をなんとなく定義づけてしまっていたことが、怖いなあと思うんです」
「『自分はなぜ、この仕事を、就活をしているんだろう』、そう一度立ち止まって、『自分は何をしていると幸せ』で、『誰といると幸せ』で、『どうありたい』が、就活レベル、仕事レベルではなく、『人生レベル』で分かると、たとえその後の行動が変わらなくても、その行動の意味合いは変わってくるはず。そうすることで、私たちの自己肯定感、自分の選択への納得感も、少しずつ高まったりするんじゃないかなあ」
(取材・文:岡徳之<Livit>)
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