「住宅といえば鉄筋」の沖縄に変化? 木造の着工数1161戸で過去最高:人気上昇
住宅といえば鉄筋コンクリート造りが主流の沖縄で、木造が増えている。2017年の木造住宅の着工戸数は1161戸で、過去最高を3年連続で更新した。そのわけは?
住宅といえば鉄筋コンクリート造りが主流の沖縄で、木造が増えている。2017年の木造住宅の着工戸数は1161戸で、過去最高を3年連続で更新した。鉄筋や生コンの価格が高騰しているため、建て売り、注文住宅とも安く建てられる木造が注目されているという。
「台風やシロアリに弱い」というイメージは、木材の防虫加工技術や木材を接合する金属部品のサビ止め技術、免震技術の進歩などで克服されつつある。リフォームや修理のしやすさ、多様なデザインも魅力。高い断熱性などを備えた省エネ住宅を国が推奨していることも追い風になっているという。(政経部・平島夏実)
沖縄では戦後、米軍の影響や台風、シロアリ被害への対策から鉄筋コンクリート住宅が広がった。しかし、20年の東京五輪の関連工事や、全国的にホテル建設が相次いでおり、建築資材が高騰。木造は鉄筋コンクリート造りの約3分の2のコストで施工できるため、脚光を浴びつつある。
技術面の進歩も後押しする。金属部品は、サビ止めコーティングがJIS規格で標準化され頑丈になった。東日本大震災などを機に、震度7以上の揺れが余震を含めて複数回発生することを想定した免震構造も登場。シロアリ対策では薬剤研究が進み、5年保証が普及した。定期的に塗り直すとより長く持つという。
国交省の統計によると、17年に着工した住宅のうち木造は1161戸と着工数全体の7%で、鉄筋コンクリート造りは1万4381戸(87%)。木造の割合は1%台で低迷してきたが、09年から徐々に増えている。
企業にとっても、人口増加が続く沖縄は、木造住宅の需要増加が見込まれる市場。俳優の小泉孝太郎さんを起用したCMを流しているアイダ設計(埼玉県)など、県外ハウスメーカーも沖縄の市場に参入しているという。
宮崎産や鹿児島産のスギ材を中心に加工しているワイテック(福岡市、森信芳社長)は16年11月、糸満市に「沖縄プレカットセンター」をオープンした。沖縄に一定規格の木材を運び入れ、長さや太さを調整。組み立てのための凸凹加工を施し、建材店や工務店に卸している。
沖縄で加工することで、さまざまな形の木材をコンテナに詰める必要がなくなり、海上輸送コストの削減につながった。同社の木材の加工能力は月3300平方メートル分で、18年度中に約1.5倍へ増強予定。藤久保真一センター長は「沖縄の木造住宅は20年までは増える。今後は、木造の基礎や骨組みを担える大工の確保が課題」とみる。
建築資材の販売や建設を手掛ける新洋(浦添市、大山隆社長)では、木造資材に関する相談が6年前から増えた。新垣守泰専務は「国の施策も木造には追い風」と解説する。20年には住宅に新たな省エネ基準が課される。基準の一つとして高い断熱性が求められるため、熱が伝わりにくい木造が適しているという。
新垣専務は「木造住宅は安いだけでなく、屋根などを含めた外観の素材・デザインが豊富なのが魅力。多様な提案をしていきたい」と話している。
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