富豪ランキング“圏外” 日本はなぜ「ビリオネア」が少ないのか:世界を読み解くニュース・サロン(3/4 ページ)
2018年版の「ビリオネア調査」の結果を見ると、ビリオネア数で日本はトップ10にも入っていない。なぜだろうか。その背景には、日本の企業文化がある。
強すぎる「横並び意識」
最近、日本経済新聞(5月13日付)が、企業のトップと従業員の平均年収の差は「ペイ・レシオ」と呼ばれており、最近ペイ・レシオについての調査結果が米国で発表になり話題になっていると報じていた。ペイ・レシオとは、「経営トップの報酬(ペイ)が自社の平均的な従業員の何倍かの比率(レシオ)を表す」ことで、米国企業ではトップの報酬が驚くほど高額で、従業員との差が大きいことがはっきりと分かる。
例えばアマゾンでは、トップの報酬は従業員中間値の59倍だという。一方で日本の場合、また孫氏を取り上げて申し訳ないが、ソフトバンクのペイ・レシオは12倍でかなり倍率は低い。
同記事によれば、こうした差が「社会不満や政治対立を深刻にした側面はある。だが、日本の場合は逆に、強すぎる横並び意識が将来の成長を阻害しかねない」と指摘している。「強すぎる横並び意識」というのが日本らしさ、ひいては、日本に富豪が少ない理由の1つにつながっているとも言えそうだ。
最近仕事で日本を訪れていた日系米国人男性にこの話をすると、その男性も経済大国の日本になぜ世界レベルの富豪が少ないのか不思議がっていた。そして、こんなことを聞いてきた。「日本では、企業や独立して稼ぐ人は、目立ったりするとたたかれるという空気があるのか?」
もちろん日本には稼いでいる企業をたたくという文化があるわけではないが、「目立つ」ことが必ずしもいい意味ではない、ということはあるかもしれない。荒稼ぎしたり、どんどん稼ぎが増えると、「羽振りがいい」「成金」といった言葉で少しネガティブなニュアンスで見る場合があるのは確かだ。例えば、お笑い芸人のたむらけんじ氏が、焼肉屋の経営や仮想通貨で稼いでいることが自身の発言で知られると、インターネット上などでは、批判的な声が広がり炎上した(もちろんたむら氏がそれをあおっている節もあるが)。
既出の訪日した米国人男性は、「価値観の違いでどちらがいい、悪いという話ではないが、米国では金を稼いで成功していることをネガティブに感じる人はあまりいないと思う」と言う。
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